テレビやラジオなどで流れる楽曲の使用料を放送局から徴収する事業をめぐり、日本音楽著作権協会(JASRAC)の徴収方式が独占禁止法違反(私的独占)にあたるかが争われた訴訟で、最高裁判所は28日、公正取引委員会およびJASRACの上告を棄却する判決を言い渡しました。
JASRACは、テレビ・ラジオ局が放送事業収入の1.5%を支払えば管理楽曲が自由に使える「包括契約」方式を採用しており、放送向け音楽の著作権管理事業をほぼ独占している状態です。
2009年、公正取引委員会はJASRACが「他事業者の参入を著しく困難にしている」ため、独禁法違反にあたるとして排除措置命令を行いましたが、JASRAC側の不服申し立てを認め、2012年には命令を取り消す判決を下しました。これに対し競合するエイベックス・グループの著作権管理会社「イーライセンス」は審決を不服とし、東京高等裁判所に提訴していたという経緯があります。
今回の判決に対してJASRACは「当協会は、利用者・委託者の皆様にご迷惑をお掛けしないことを第一義としつつ、本件で問題とされた使用料徴収方法が,大量の著作物の円滑な利用と適正な著作権保護とを効率的に両立させる合理的なものであって、諸外国において同様の方法が広く採用されていることからも明らかなように、私的独占(独占禁止法3条違反)に該当するものではないことを引き続き主張してまいります」との見解を発表。
公正取引委員会は今回の判決を受け、JASRACが放送事業者と結んでいる契約について独禁法違反の他要件を満たすかどうかの審判手続を再開する見込みです。
(高城歩)
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