ねとらぼでもたびたび紹介しているVR(バーチャルリアリティ)ヘッドセット「Oculus Rift」。その次世代型にあたる「DK2(開発キット2)」が日本でお披露目され、Oculus VR創業者・Palmer Luckey氏が「DK2は日本に優先的に出荷する」と語った。
Oculus Riftは開発者向けの「DK1」がすでに6万セット出荷され、より高性能なDK2が今年の7月に発売される予定。すでに大量の注文が世界中から殺到しており、日本からも約3000セットの注文が来ているが、Palmer氏によると、特に「日本に優先的に出荷する」という。4月7日〜8日に行われた、Unityの開発者セミナー「Unite Japan 2014」の基調講演での出来事で、Palmer氏が優先出荷を発表すると会場はたちまち割れんばかりの歓声に包まれた。
なぜOculus VRは日本をこれほどまでに優遇するのか。その最大の理由は、日本に根付いている「同人創作活動」にあった。
ねとらぼでもこれまでミクさんと握手できる「MikuMikuAkushu」や、添い寝ができる「MikuMikuSoine」などのアプリを紹介してきた。Oculus VRでは世界中から日々公開されるOculus Riftのアプリを観察しており、その中でも日本のアプリがひときわ目立っていたこと、さらに日本からのOculus Riftの注文が日を追うごとに増えていたことに注目していたそうだ。
一方、そんなこととはつゆ知らず、日本からOculus Riftを注文した人たちの間では1つの噂が飛び交っていた。「注文したらすぐ届いたんだけど、これって日本からの注文は最優先で送ってきてない?」「うちもすぐ届いたので驚いた」
Palmer氏に直接取材したところ、日本以外の国では、Oculus Riftを購入したユーザーはOculus側が用意したデモアプリを動かしてそれで終わりというのがほとんどで、実際にアプリを開発することはまれだったという。これに対し、日本では最終的に3000から5000セット出荷された(注文経路が様々なため把握している概数)のに対し、現在までに数百本ものアプリを公開。この実績から「日本がもっとも有望な開発者のコミュニティである」と評価、最優先で出荷していたというわけだ。
そんな日本の開発コミュニティを象徴しているのが、以前紹介した「主婦ゆに」だ(紹介記事)。これまでPCすらほとんど使っていなかったという“主婦”が、Twitterでさまざまな人からアドバイスをもらいながら、わずか数カ月でOculus Riftの開発をマスターした。この日“主婦”さんは師匠の@GOROman氏とともに登壇し、OculusRiftを体験した“主婦さんのお母様”のお礼の言葉をPalmer氏に伝えていた。
UnityのCEO・David Helgason氏とPalmer氏の共同記者会見では、両氏とも日本のユーザーのクリエイティブ能力に注目しており、この国から生み出されるものに期待している様子がうかがえた。
Palmer氏は基調講演で、日本の開発者コミュニティが生み出す作品を「まったくベクトルの違う」ものと言及していたが、こんなの(下の吉田早希さんの写真参照)見たらそりゃあ思うよね。
ちなみにPalmer氏は、アニメ「ソードアート・オンライン」の大ファンなのだそう。理由はVR(バーチャルリアリティ)が物語のキーデバイスになっているから。彼女が日本のアニメの大ファンで、さまざまなアニメを一緒に見ているそうだ。
二次元の彼女と握手したり添い寝したりと日本の創作活動は妄想が原動力になっており、Oculusの新型が日本に届けばさらに妄想が加速するのは間違いないだろう。「世界よ、これが日本だ」と。
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