11月22日、第26期竜王戦七番勝負(読売新聞社・日本将棋連盟主催)の第4局・2日目が、香川県宇多津町のサン・アンジェリーナで行われ、ニコニコ生放送の大盤解説を羽生善治三冠が担当した。渡辺明竜王(竜王・棋王・王将)、森内俊之名人の勝負を、羽生善治三冠(王位・王座・棋聖)が解説する――すなわち、将棋界における“全タイトルホルダーの競演”に、番組は大にぎわいとなった。
羽生三冠のニコ生解説は昨年の竜王戦第2局以来2回目。聞き手役は、前回と同じく藤田綾女流初段が務めた。ニコ生では、竜王戦第4局から今月上旬に「電王」の称号を獲得したコンピュータ将棋ソフト「ponanza」の評価値・読み筋を導入していたため、全タイトルホルダー+電王という「将棋界の英知」が1つの画面内に収まっていた。勝負が行われたサン・アンジェリーナは、挙式・パーティー会場として人気のスポットで、対局室から瀬戸内海が見渡せるなど、全体的に画面構成にすごみがあった。
番組の名物コーナーとなっている昼食&おやつ時間は案の定大盛り上がり。特に今回のおやつは、パティシエ青木定治のケーキに、容器とスプーンで5000円相当のHappy Ice Cream!が提供され、「豪華さが三冠ランク」「今日どうしたのw」といったコメントが多数流れていた。
ちなみに、羽生三冠にはアイスにまつわる有名なエピソードがある。それは、深浦康市九段とのタイトル戦で、おやつの時間にアイスクリームを注文したところ、羽生三冠が集中して指している間にどんどん溶けてしまい、深浦九段が気になって仕方がなかったというもの。最終的に溶けてバニラジュース状態になったアイスを羽生三冠が飲む姿をみて、深浦九段は「今日は負けそうだ」と思ったという。
本日のアイスは、それを踏まえて溶けにくいアイスが用意されていたのだが、藤田女流初段が“深浦エピソード”について尋ねた時の返事は「あ、そんなことありましたっけ?」「きっと、アイスを頼んだのを忘れてたんでしょう」だった。
このほか、番組中には伊奈川愛菓女流初段がゲストとして登場。推理コミュニケーションゲーム「人狼」にハマっているらしく、羽生三冠に熱心に説明する姿が印象に残った。さらに、将棋連盟の谷川浩司会長による“ドッキリ”電話出演があり、これには羽生三冠が思わずのけ反るなど勝負以外の面でも盛りだくさんだった。
対局は午後7時すぎに挑戦者の森内名人が144手で勝利。対戦成績を3勝1敗とし、10期ぶりの竜王奪回まであと1勝と迫った。勝負の様子については、ブログ「竜王戦中継plus」などが詳しく伝えている。
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