かわいいものを見ると集中力が高まるという実験結果を、広島大学大学院の研究者が発表した。
実験は同校の入戸野宏准教授らによるもので、大学生に手先や頭を使う作業をしてもらい、動物の赤ちゃんまたは成体の写真を見せて、そのあとまた同じ作業をしてもらった。作業はゲーム盤の穴から小さなピースを取り出したり、文字列から特定の字を探すなど、器用さや注意力を必要とするものだった。
その結果、子猫・子犬(かわいい写真)の写真を見た学生は、写真を見たあとで作業の成功が増えた。穴からピースを取り出す作業では、成功の回数が約44%増えた。これに対して大人の猫・犬の写真(かわいさは子猫・子犬より落ちる)の写真を見た学生は成功が約12%増えた。
文字を探す作業では、子猫・子犬の写真を見た学生は正答数が約16%増えた。これに対して大人の猫・犬の写真は1.4%増、おいしそうな食べ物の写真を見た場合は1.2%増だったという
実験参加者はかわいい写真を見たあとで、集中力が必要な作業をより慎重に行ったことが示されたと入戸野氏。かわいいものには接近したいという感情が起きるため、集中が高まるのではないかという。この研究の今後の活用法として、かわいいものを使って、ドライブや仕事などの特定の状況で慎重な行動を引き出すこともできるかもしれないとも述べている。
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