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画像 毎月第3月曜日の午後10時から配信している

 「笹塚って何があるの?」――東京都渋谷区笹塚に住む人は長年この質問に悩まされてきたと、笹塚十号坂商店街組合の深野重人理事は語る。浅草の浅草寺、上野の上野動物園のように、誰にでも分かりやすい名物はない。だからと言って、「笹塚は何も無い」と思われるのがコンプレックスだったという。

 「こんなに便利でいい街、ほかにはないですよ」と、深野理事はアピールする。新宿駅までは京王線で5分あまり。若者に人気の下北沢駅や買い物客でにぎわう中野駅も近い。さらに「意外とテレビや雑誌に取り上げられてる良いお店もいっぱいあるんです」と続ける。

 一目で分かる名物がなくても、街の魅力を伝えるにはどうすればいいか。深野さんが目を付けたのはUstreamだ。それ以前はTwitterで笹塚の情報を発信していたが、Ustreamであればテキストより臨場感が伝わりやすく、伝達スピードも早いと考え、今年3月に月1の1時間番組「笹塚テレビ」を始めた。

全くの素人が手作りのスタジオから届ける

画像 リリー・フランキーさんの映画「東京タワー」の舞台にもなっているボウリング場「笹塚ボウル」に配信スタジオを手作りした

 笹塚テレビは街の飲食店や笹塚の有名人をトーク形式で紹介する。6月22日の放送では、地元のケーキ屋「スイーツハウス」で1日1600個を売り上げる人気のメロンパンを食べてリポートしたり、笹塚出身の“車椅子レーサー”長屋宏和さんにインタビューしたりした。

 司会は酒屋「升本屋」の3代目主人・梅田知行さんとヘアサロン「Beauty House HARU」オーナーのHARUさん、プロデューサーは深野さん、ディレクターは笹塚ボウルの財津宜史専務、アシスタントは建築事務所「eastA」を営む金成伸也さんが担当している。

 配信は、ボウリング場「笹塚ボウル」内の手作りスタジオから。撮影のたびに、笹塚ボウルに併設するカフェのテーブルをいくつもつなぎあわせ、その上に機材をセットする。笹塚ボウルとの仕切りを設けていないため、ボウリング客が間違えて入ってきてしまうこともあるそうだ。

画像 5人の“素人”で挑戦中! 前列右が深野さん

 メンバーは仕事の合間などにボランティアで協力している。撮影機材は財津さんがもともと所有していたものだが、番組制作に関しては皆が素人だったという。「どうすればもっと面白くなりますかね? 意見いただけませんか?」――取材中、記者に企画書を見せてくれた深野さんの番組を盛り上げようとする姿勢が印象的だ。

 放送直前はピリリと緊張感が張り詰める。深野さんが作った台本と企画書で、時間ギリギリまで入念に打ち合わせをする。音声と映像のチェックにも余念が無い。だが番組が始まると雰囲気は一転し、終始笑いが絶えないアットホームな空気が生まれていく。

 少したどたどしさの残るトークに和やかな笑いが起きたり、裏方の深野さんや財津さんが「僕も意見言ってもいい?」と途中からマイクを持って登場したりする。皆が笹塚のことを語りたくてたまらない様子で、トークが何度も脱線するため、終了予定時間をオーバーすることも。記者が取材で訪れた時には40分も番組が長引いた。

 放送終了後はメンバー同士が「お疲れ様」と握手を交わし、互いの成果をねぎらう。番組を無事終えられた喜びと安心が混じったような何とも言えない笑顔で、「来月も頑張りましょう」と励まし合う姿に、「笹塚テレビ」にかける熱意が感じられた。

「笹塚テレビ」は“笹塚愛”が支えていた

画像 笹塚について情報発信するTwitter「@jyugozaka」も、深野さんが昨年3月に始めた

 「笹塚の人はとにかくフレンドリー」と、5人は口をそろえて話す。6つもある商店街を中心に栄えた街ということもあって、店と客の関係を越えた住人同士の交流が活発という。笹塚テレビのメンバーも、笹塚ボウルやなじみのレストランを開放し、誰でも参加可能な飲み会を月に1度は開いているそうだ。

 しかし深野さんは「いつかは笹塚の街も“シャッター商店街"のようになってしまうのでは」と心配している。コンビニやネットショッピングの台頭で、昔ながらの交流が少なくなり、街の活気が無くなるのを懸念している。「大好きな笹塚の街を残したい。自分たちがやれることをしたい」――昨年から駅前の再開発が始まったことも、その思いに拍車をかけた。

 自分たちがやれることは「笹塚って何があるの?」という疑問を解消することだと考えた深野さん。UstreamやTwitterを使って笹塚の文化や情報を発信することで「笹塚がこんなに良い街だと分かれば、もっと活気づくはず」と考えている。

画像 「UstreamやTwitterを始めた当初は街の人の理解が得られなかったが、今ではみんな喜んで協力してくれる」と深野さん

 笹塚テレビの目標は、笹塚をよく知らない人が番組で紹介したお店に行ったり、実際に住んだり、出店したりするきっかけを作ること。「Ustreamなら笹塚の人の良さも含めて“ありのまま”を動画で配信できる。そうすればもっと街の魅力が伝わると思うんです」

 「これからも笹塚の“どローカル”な情報を伝えるという番組の軸だけは変えない」つもりだ。現在の平均視聴者数は30人ほどとそれほど多くはないが、「番組内の企画で見せ方を工夫して、多くの人に楽しんでもらえるようにしていきたい」と意気込む。具体的には、番組内で地元住人によるのど自慢大会を開催したり、地元の女性がざっくばらんに語る「女子会」をしたりすることを計画している。

 笹塚テレビだけでなく、笹塚十号坂商店街組合の理事もボランティアで引き受けている深野さん。どうしてそこまで笹塚のために頑張れるのだろうか。「笹塚愛でしょうね。無償の愛みたいなものです。生まれも育ちも笹塚なので、誰よりも笹塚が好きなんですよ」――照れくさそうな笑顔が印象的だった。

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