コンピューターが人間の言語を完全に理解する日もそう遠くはないかもしれません。
MIT newsの記事によると、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究チームは、コンピュータに一切の知識を与えずにゲームをプレイさせ、ゲームのルールを理解させることに成功したとのことです。
実験に使われたゲームは、ターン制シミュレーションゲームの中でもかなり難解なルールとシステムを持つ「Civilization」。コンピュータは最初、ランダムな行動しかとりませんが、自分がとった行動と画面に表示された文字とを照らし合わせ、どんな行動をとればどんな文字が表示されるかを推測。いくつかの仮説を立て、得られた結果に応じて信頼性の高い仮説だけを残していくことで、やがて正しいルールを理解することができるのだそうです。
また驚くべきことに、実験ではコンピュータに「説明書を読ませる」ことで、勝率を大幅に引き上げることにも成功したとのこと。説明書を読ませない状態での勝率は46パーセントでしたが、説明書を参照させたバージョンでは、なんと勝率は79パーセントにまで上昇したそうです。
同チームではそのほか、コンピュータにソフトウェアをインストールさせる実験も行っており、こちらは人間がマニュアルを読んで実行するステップのうち、およそ80パーセントを再現することに成功。以前紹介した、IBMのスーパーコンピュータ「Watson」は、口頭で出題されるクイズの質問文から解答を推測することができましたが、今回の研究はそのさらに一歩上を行くものとなりそう。例えばこの技術をゲームのAI開発などに応用すれば、今後はより優れたAIを、より手軽に開発することができるようになるかもしれないと、同チームではコメントしています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.