来年開業予定の「東京スカイツリータウン」の地下には、7000トンもの水を貯められる巨大タンク「大容量水蓄熱槽」がある。25メートルプール約17杯分に相当する量だ。この水の温度を調整して循環させることで、冷暖房を稼働させるほか、大規模災害時には生活用水として地元・墨田区に提供する予定になっている。
東武鉄道と東武エネルギーマネジメントが6月16日に報道陣向けに公開した。今は工事がほぼ終了した段階で、水は空の状態。スカイツリーの地下はどうなってるの? 巨大タンクの大きさはどれくらい?――ドキドキしながら、記者が潜入してみた。
東京スカイツリータウンは建設の真っ最中だ。地上の現場は白い布で覆われ、足場が組まれている。ヘルメットと軍手を着用し、23メートルの深さまで掘られた地下エリアに行ってみると、太い管や機械が並んだ工場のような空間が広がっていた。これが「熱供給システム」だ。
熱供給システムは、「大型熱源機器」や「地中熱利用システム」を使って、7000トンの水を夏は5度に冷却、冬は48度に加熱する。これを5機の大容量水蓄熱槽に貯めておき、ポンプで東京スカイツリータウンを循環させて昼間の冷暖房に使う。熱供給システムを夜間に稼働させることで、ピークとなる日中の電力使用量を半分ほどに減らせる。
大容量水蓄熱槽にも入ってみた。幅は4.8メートル、奥行きは16.8メートル、高さは16メートルの空間で、デカさに圧倒される。内側の壁には断熱シートを袋状に2重に取り付けられ、温度変化や水漏れを防いでいる。
東京スカイツリータウンは2012年5月22日開業する。その時にはここに入ることはできなくなるだろう。水で満たされる時を思い、しばし天井を眺めるのだった。
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