人はなぜゲームにハマルるのかを、プレイ動画や画面写真を見ながら楽しくかつまじめに考える当コラム。今回は現在あまり耳にする機会がなくなった感のある、主にアーケードゲームにおいて使用されていたエクステンドの演出をテーマにしてお送りしたいと思います。
ところで、エクステンドとはいったいどんな演出のことなのでしょうか? ひと言で定義するのは正直難しいのですが、ここでは大まかに「主人公および自機のストックまたはプレイ時間が延長される演出の総称」としてお話を進めていくことにします。例えば、「スーパーマリオブラザーズ」シリーズであれば1UPキノコを取ったり、一定数のコインを集めるごとに効果音が鳴ってマリオが1人増えるような仕組みである、と思っていただければオーケーです。
それでは、プレイヤーをますますゲームの虜にする見事なエクステンドの演出の数々を見ていくことにしましょう!
1980年前後に登場したアーケード用ビデオゲームでは、一定のスコア(得点)を獲得するとエクステンドになるというルールのものが多かった、というのが当時からゲームにハマリ出した筆者の率直な印象です。
有名タイトルの中からいくつか例を挙げますと、タイトーが1978年に発売したシューティングゲームの「スペースインベーダー」では自機が3機破壊されるとゲームオーバーになりますが、スコアが1500点になると自機が1機増え、再チャレンジのチャンスがプレイヤーに与えられるようになっています。同じく、ナムコが1979年にナムコ(現:バンダイナムコゲームス)が発売したシューティングゲームの「ギャラクシアン」でも5000点になると自機が1機追加され、1980年に登場したアクションゲームの「パックマン」では1万点で主人公のパックマンのストックが増えます。
さらに古い作品を調べてみると、1979年にタイトーが発売したアクションゲームの「スペースチェイサー」でも1万点でエクステンドとなり、カプコンが1883年に発売したアクションゲームの「ソンソン」では2万点、テーカン(現:コーエーテクモゲームス)が1983年に発売したシューティングゲームの「SENJYO(センジョー)」では10万点に到達すると、それぞれエクステンドとなるルールになっています。
次に、自機あるいは主人公のストックの概念がないゲームにおけるエクステンドの例を見てみましょう。
ドライブゲームにおいては、コース上の特定の地点にチェックポイントを設置して、ここを通過するとプレイ時間が増えるタイムエクステンドの方式を採用するのが古くから定番となっています。ナムコが1983年に発売した「ポールポジションII」(※)や、セガが1985年に発売した「ハングオン」などがその代表例です。1990年代の作品を見ても、1993年にナムコが発売した「リッジレーサー」をはじめとするヒット作の大半はこのシステムを採用しています。他車に衝突したり、コース外の壁に何回ぶつかってもゲームオーバーにはならない代わりに、時間がなくなる前にチェックポイントへ到達しないと即ゲームオーバーになるというわけですね。
またアーケード用の麻雀ゲームでは、プレイヤーがアガるとその点数分だけライフ(体力)が増え、逆に対戦相手に振り込むとライフが減るというルールを採用した例が昔は数多く存在しました。牌のツモ、および捨て牌時は何秒かけても制限時間内であれば特にペナルティはありませんが、その代わりライフがゼロになる(またはアガれずに流局する)と即ゲームオーバーとなるという仕組みです。このように、麻雀の点棒に応じてライフが増えるシステムも、広義ではエクステンドに含めてもいいでしょう。
現在でもセガの「MJ」、およびKONAMIの「麻雀格闘倶楽部」の両定番シリーズ(※)にはその名残があり、相手に振り込んだ点数分だけライフが減って、もしゼロになった場合は次局が始まるまでにコインを追加しないとゲームオーバーとなってしまいます。また、「MJ」ではプレイヤーがアガった点数に応じて持ち時間が増え、捨て牌を考えている間は時間が減るようにもなっています。「麻雀格闘倶楽部」ではプレイヤーが手をアガってもライフは増えませんが、その代わり捨て牌などの考慮中でもライフは減らないように配慮しています。
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