人はなぜゲームにハマルるのかを、プレイ動画や画面写真を見ながら楽しくかつまじめに考える当コラム。今回はファミコンブーム全盛の1980年代に少年・少女時代を過ごした30代以上のみなさんには特に懐かしい隠れキャラクター、通称「隠れキャラ」をテーマに取り上げてお話します。
最近のゲームではお目にかかる機会が激減し、今や限りなく死語に近くなった感のある「隠れキャラ」ですが、いざ調べてみると面白い発見がたくさんありましたのでこの場をお借りして可能な限りご紹介したいと思います。それでは、今回もよろしくどうぞ!
そもそも、「隠れキャラ」とはいったい何者なのか? ひとことで定義するのは難しいのですが、大雑把に言えば「通常のゲームの進行方法では出現させることのできないキャラクター」と、いうことになるでしょうか。マニュアルを読んでもその存在が一切明らかにされていない「隠れキャラ」をゲーム内に登場させることで、プレイヤーは予期せぬタイミングで謎のキャラクターが出現するのを目撃し、より大きな驚きや感動を与える効果を生みます。主に1980年代のファミコン用ソフトを中心に大流行し、筆者も含め当時多くのプレイヤーたちがソフトを片っ端から持ち寄っては、「隠れキャラ」を夢中になって探したものでした。
そんな「隠れキャラ」の存在を一躍有名にしたのは、やはり1983年にナムコ(現:バンダイナムコゲームス)が発売したアーケード用シューティングゲームの「ゼビウス」になるでしょう。本作では一見すると何もない場所なのに、レーダーが触れると反応してフレームが光る地点がいくつかあり、そこに向かって地上攻撃用の武器であるブラスターを撃ち込むと「隠れキャラ」のソルが出現するようになっています。ソルを出現させると2千点、さらに破壊すると2千点の高得点が入りますので、以前のコラムも説明したエクステンド(※一定の得点に達するごとに自機が増えること)を狙うためにも、知っているのとそうでないのとでは大違いです。
筆者も少年時代、上手なプレイヤーがソルを次々と出現させているのを見て、「なんで何もない所から突然敵が出てくるの?」と不思議でしかたがなかったことをよく覚えています。早速マネしてあちこちにブラスターを撃ちまくっていたら、知らない間に空中の敵に撃墜されてあっさりゲームオーバーになってしまいましたが(苦笑)……。しばらく後に、偶然ながら自力でソルを発見することに成功したときの衝撃と感動は今なお忘れることができません。
その後、ファミリーコンピュータが本格的なブームを迎える1985年頃になると、多くのゲームに「隠れキャラ」が存在していたことから、ゲーム好きの間では「隠れキャラ」が(本来は隠れた存在なのに)一躍有名になりました。
その典型的な例のひとつに、1985年にハドソンが発売したシューティングゲームの「スターフォース」(※)があります。本作では特定の地点を撃つと「H」の文字が書かれた「隠れキャラ」のヒドンが出現、これを破壊すると2千点のボーナスが入りるようになっています。前述の「ゼビウス」と同様、本作にもエクステンドのシステムがありますので、ヒドンをなるべくたくさん破壊して得点を稼いでおけば、やはり有利に戦うことができるようになります。
また、同じくハドソンが発売した「ロードランナー」では、ロボットを5体以上埋めてからステージ内の金塊を全部取ると「隠れキャラ」のフルーツが出現し、これを取ってからステージをクリアするとボーナス得点が加算されます。フルーツはリンゴやバナナなど多くの種類があり、どれが出るのかは毎回ランダムで変化します。これらのフルーツの存在によって、パズルを解くのと同時に何種類の「隠れキャラ」を目撃できるのかという楽しみ方ができたというワケですね。
さらに面白い工夫をしていたのが、コナミが1986年に発売したファミコン用アクションゲームの「グーニーズ」。本作に登場する「コナミ監督」「ツインビー」「コナミマン太郎」などの「隠れキャラ」は、取ると5千点のボーナス得点が入るようになっています。ですが、しばらく放っておくとやがて画面から消えてしまい、この場合はボーナスが千点に下がってしまいます。つまり、本作の「隠れキャラ」にはただ出現方法を探すだけでなく、出した後に急いで取るためのテクニックを持ったプレイヤーに対する成功報酬も同時に用意しているのです。
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