2025.2.20-22善福寺川上流調節池、事業認可後初の東京都建設局によるオープンハウスが開かれました。今回は立ち退きになる人への個別補償説明をする(クローズドで)、と明言しており、そのため原寺分橋地域・どんぐり公園周辺住民のみなさんはボイコットの声明(都知事宛)を公表。そもそも各地域からはずっと「オープンハウスでなく全体説明会」と要求しているのです(動画では建設局がゴニョゴニョはぐらかしています)。
都市計画決定にあたっては「公聴会を開くことができる」の「ことができる」けど義務ではない、というのがネックで、行政はやりたくなければやらないのです。
しかも今回は西荻地域区民センター、桃一小、松渓中で、善福寺川緑地周辺ではやらない。前回コミふら成田で徹底批判されたからですよね。悪い計画だから、どこでも批判しますけど。
そんなわけで、2.20の西荻地域区民センターでのオープンハウスはガラガラ。私はこの日に、2.22の「住民と専門家会議」立ち上げに参加してくださる、大西隆先生(都市工学・東京大学名誉教授)と善福寺川緑地周辺住民の方などと、まとまって訪れました。バラバラでは、マンツーマンについた職員が公にならないのをいいことに、はぐらかし、適当なことを言って、挙げ句「さぁ、わかりませんねぇ(ニヤニヤ)」で帰されるのがオチだからです。しかし、結論から言えば、グループでも「わかりませんねぇ」でした。じゃあなんであんたが説明会やってんだ?
オープンハウスのよくないところは、こちらが初めて見るボリュームある資料をパネルで出してきて、読む暇もないうちに職員がくっついてくること。これ、どこでもそうなんだけど、何?なんかマニュアルでもあんの?
ともかく、パネルを一番最初から見始めたら、結局時間内には最後までたどり着かず。帰ってから「ここおかしい!」と思っても、もう質問は受けつけませ~ん。そりゃ行政はらくちんです。
●降雨量のグラフがおかしい!

しかし最初の「調節池が必要となる背景」の項目でも、いきなりおかしなことが(動画あり)!
調節池とは、現代の気候変動により豪雨が増加しているから洪水対策として必要。なるほど、豪雨が多いのは誰でも実感する。しかし、このグラフ「善福寺川のこの流域での降雨量でないと意味ないですよね?違うんですか?」「杉並区全体の降雨量なんですか?それも違う?」「え、東京都?でもなくて?」「まさか、全国の降雨量のデータ?!」そのまさかです。思わず「和歌山や高知も含む降雨量なんですか?!」と叫びましたが、東京都はしれっと「そうですね」です。そりゃあ気候変動は大変な問題だが、高知県のハンパない豪雨に善福寺川上流調節池がなんの役に立つのか?
しかし、このデータが調節池を作る根拠。なお、これに比べるとささやかなことかも知れませんが、ゲリラ豪雨って一時間ずっと80mm/hの雨量が続くことは稀ですからね。実際の雨水の量はもっと少ない。とんだ水増しです。
●武蔵野の下水流入は無視!

先日武蔵野市下水道局に教わって学んだ、武蔵野市下水道の善福寺川への放流協議についても、東京都はずっと「関係ない」対応。豪雨時に原寺分橋、原橋でいきなり水量が増加するのは、武蔵野市からの下水道吐け口があるから、と、武蔵野市は認めているのに。
武蔵野市の下水道 : 善福寺川上流調節池の現在・前編 - ニシオギDRUNKerシンブン

比率どおりに描いたら右のようになるはず
今回も計画流量の図面では、原寺分橋上流からは20mm/hが原寺分橋で90mm/h+36mm/h(調節池に取り込む分)と激増するのだけど、それが武蔵野市下水道由来とは書かない。動画では「ここで増える」の指摘に対して言いたくなさそーに「90に」とだけ言っています(実際は126mmなので計算もおかしい)。
図面も増加の分だけの幅になってなくて、激増してることがわかりにくい。なんでその次の90→110=20mm増加のところとたいして変わらない幅で描いてるのか。
●そもそも下水を川に流す前提
この問題についても、今下水から溢れている内水氾濫は止まるのか?調節池ができて、河川のキャパが増えたら下水の流入を増やすのか?下水道にどのくらい受け入れられるのか?など、対策の実効性にも疑問が。
善福寺川緑地周辺からは「下流に住んでるものとしては、下水の放流を増やすというのは、この計画自体が善福寺川を汚くすること。どんどん善福寺川を死んだ川にしていく」という意見。
大西先生は「すべての水害を無くすことはできない。水害対策だからと言って、川を汚して樹木を伐採していいのか。環境が第一番にあって、その上でどういう風な治水、利水をするのか考えるべき。環境も人命を守るのも同時並行的にやるべき」と、根本的なことを述べました。
●費用便益分析B/Cがおかしい!

この事業費用は1557億円と言われているのですが、現在の社会状況からしたら、建設費が上がるのは確実。
それだけお金をかけてどれほどの効果があるのか?が、費用便益分析B/C(分数としては日本語の名称が逆。便益benefit/費用cost)。ここで東京都の計算は6814億円/4845億円で1.4程度の効果が見込める、としている。

便益とは。調節池がなかったら洪水になって、家や財産が損失する金額などの試算(施設の耐用年数期間)。しかし戦後の善福寺川の洪水は3回。20年前のH17年(2005)の氾濫で1600棟が被害、床上浸水もあり、180億円。それ以降はH26年(2014)60棟が被害(その前に比べれば被害程度も少ない)、R6年(2024)は、ほぼ被害はなしでした。これを基準にすると便益はせいぜい数百億円。しかも環七や和田堀の調節池ができた後はどんどん被害が減っている。人類がめちゃくちゃ環境破壊して、10年後には毎日豪雨が降るようになる、とかなら被害は増えるでしょうが…
それよりも4845億円って何の費用?善福寺川上流調節池の事業費(cost)は1557億円じゃないの?
なんとこのB/Cは神田川流域全部のこと(護岸工事などの河道整備含む)。もちろんそのことは資料には書いてありません。しかも4,5年前に神田川全体の流域計画作ったときの数字だそうです。
善福寺川上流調節池だけの費用便益は出さないのか?と追及すると「ない」ときっぱり。
いや、でも石神井川上流調節池(武蔵野市や東伏見に作る)は単体でB/C出して1.1(低っ!)だったのに。
後日学んだことによると、国からの交付金か補助金かの違い。善福寺川上流調節池=社会資本整備交付金=累計でのB/Cでよい、石神井川は特定大規模河川整備補助金=単独B/Cが必要。と、いうルールになっているらしい。でも交付金は累計で取れる、というだけで、事業単独のB/C出したらダメ!ということはないんだけどね。てか、累計というからには、個別の事業の数字を累積するんじゃないの?
でもこの時は治水経済マニュアルで「流域を一つのシステムとして捉えて」と書いてあるから、というのが回答(動画あり)でした。なんで違うこと言うのかな。
では石神井川の単体B/Cはなぜ出たのか?そっちがマニュアルと違ってるの?と聞いたら「さぁ、今日はその担当がいないので」という絵に描いたような「説明」が返ってきました(残念、動画なし)。
他の会場では「神田川のような中小河川は流域全部のB/Cで構わないと国交省が定めている」と言われたそうで、おかしいと思った議員が国交省に問い合わせたところ、「そんな説明していない」とウソがバレたらしい。しかしそうやって後から分かっても、説明会終わったらほっかむりできてしまう。オープンハウス、個別質疑だから記録もないし。
●神田川の他の事業は計算するが、武蔵野市や下水道局の事業は計算に入れない
それだけ一体的、全体で考える考える、と言う割には、武蔵野市の合流下水改善施設や下水道局の幹線整備事業による河川への流入減少は計算には入れない。
例えば今回の取水施設計画の関根文化公園、西側の半分は下水道局の幹線整備で地上部分が芝生広場になっているのだけど、これができてから周辺住民の実感として、豪雨の増水が減っている。そりゃあ、本来なら下水道から善福寺川に放出していた雨水を長大な幹線に溜めて、晴天時に再度下水管に戻すのだから、川が溢れにくくなるのは計算上当たり前じゃないですか。武蔵野市の合流改善施設もそう。豪雨時に雨水を溜めるのは調節池と同じ。
ところが建設局は「合流改善施設は下水をきれいにするためで、目的が違う」と言い張ります。「いや、目的じゃなくて善福寺川に流入する水は結果的に減ってるでしょう?なんでカウントしないんですか?」と言うも「でも目的が違うので」!!!
●杉並区情けない
ほんと、こんな「説明」ばかりでほとほと疲れてしまいます。しかもぐだぐだでラチがあかないので、資料パネルの1/3くらいしか見られず。
後で見たら後半には樹木伐採の計画が出てるじゃないですか。「基本は移植します」「伐採は最小限」とか言ってたけど、この関根文化公園のはひどいな。大木は全部伐採。桜の名所、善福寺川に張り出した大木も伐採(紫の丸)になってる。


こういうオープンハウス形式では、住民の間で情報共有もできないから、向こうが資料でウソやごまかしをしてもわからない。杉並区は「住民に対して丁寧な説明を」と附帯をつけて事業同意をしたわけだけど、「対話の区政」、これでいいの?
説明会には杉並区の職員が後ろに控えていたので聞いてみました。「オープンハウスでなく全体説明会を、とずっと言ってますよね。杉並区は都市計画マスタープランのときなど、オープンハウスをやっても車座で全体説明会を追加したじゃないですか。それはオープンハウスだけではちゃんとした説明にならない、という判断じゃないんですか?附帯つけた以上、東京都に丁寧な説明を求めてるんですか?」と。
すると杉並区はしれっと「今日は東京都さんの説明会なので」。は?東京都の説明会をちゃんとしろ、と杉並区から言ってくれ、という話でしょ。
個人的にはこの「東京都さん」という卑屈で馴れ合った慣用句表現を行政が使うのが気持ち悪いです。
ほんと、こんな説明だけで事業認可して、杉並区民の家が立ち退きになり、貴重な公園が三つも潰され、下水が川にだだ流しはそのまんま、こんな事業が始まっていいんでしょうか?