以下の内容はhttps://niryuu.hatenablog.com/entry/2025/02/23/130624より取得しました。


破滅について

時が来た。「~について」というタイトルでよく記事を書いてきたが、ついに俺、いや我々を通したテーマである「破滅」がふさわしくなった。

先月、この記事を書き、途中で終わらせた。そこから始めよう。

niryuu.hatenablog.com

ここでいう「謎」というのは、「RubyでうまくやっていてRuby Prizeも受賞し、いい感じに仕事もできているにもかかわらず、なぜ糸柳はそこに安住しないで他の場所を欲し、破滅していったのか」ということである。

んなことどうでもいいじゃねーか。個人の自由だ。その通りだ。だが、俺には突き刺さる。(以下削除)

んー突き刺さったね。まず事実から述べようか。

ヒューマン・コンピュータ・インタラクション(HCI)という分野がある。そのトップカンファレンスである「CHI2025」が横浜で開催されるので、これに投稿し、rejectされた。

ここに至るには2年ほどかかった。

2022年末、俺は死ぬ気だった。最後に知りたい「自分の出生の謎」について、当時の主治医や父親を頼ったが、主治医はカルテがないと言って何も語らず、父親はすでに夜逃げしていた。

俺は、結局ただの障害者だったのだ。

そんな中死ぬこともできず2023年を迎え、「死ねなかったし研究でもやるか」と博士課程単位取得退学後、ちょこちょこやっていた研究を再開した。その時に出てきたのがGPT-4である。実際はGPT-4発表前にBing Chatに触れており、それが今までに持たない言語能力を持つことを発見した俺は、先輩方の後押しもありエスノメソドロジー的に分析をして発表をした。そしたら情報処理学会から山下記念研究賞というものを受賞した。俺が知る限り、尊敬していた博士学生などがとっていた印象だ。

神林長平戦闘妖精・雪風<改>』に、AIから勲章を授与されたおっさんが不審に思いながらも調子にのってしまい、死ぬという話があった。それを読んでいた俺は「気を付けよう」と思いながらも抗うことはできなかった。

そんなおりにCHI2025の横浜開催が決まった。やろう。海外に行く旅費もない。次日本でいつやるかもわからない。人生を賭けた一発勝負だ。いける。俺は日本で賞を取った。抗うことはできなかった。

2023年の後半、LLMによる小説生成の学会発表と、東大松尾研究室のLLM講座を受けていて、LLMの「指示」(Instruction/Prompting)概念を、技術論的にもユーザー目線でもちゃんと見ないといけないということがわかった。しかし、2002年にGarfinkelが"Ethnomethodology's Program"で"Instructions and Instructed Actions"に1章を割いているように、おそらくとても難しいことをやることになる。

ここで俺は2つの過ちを犯した。

まず、この研究を一人でやろうとした。リスクが高いから人を巻き込みたくなかったのだ。それは、最終的な結果に大きく影響した。

もう一つが、この挑戦的なテーマをCHIで出そうとしたことである。

年を超え2024年8月、エスノメソドロジーでLLM開発作業の研究をするとなると、Hybrid Studies of Workという方法が最適となる。自分自身が開発をできるくらいの知識を持ち、開発者に役立つ形で彼らが何を目指してどのように物事を行っているかを記述するアプローチだ。

さて、ここで難点がある。2014年のEpistemics Debate以降、エスノメソドロジーという学問の基礎が再検討され、様変わりした。Hybrid Studies of WorkやInstructionなどの概念もこれに含まれる。ぶっちゃけていうと、理解しきれなかった。CHIで闘う道具にするには、どちらも磨き上げる必要がある。

これに加えて、HCIとエスノメソドロジーとの関係は「失敗」した経緯がある。エスノメソドロジーは、人間活動の見て言うことのできるような組織を記述する、基礎的な学問である。一方で、HCI分野ではユーザーを理解するMethodの1つになってしまった(reviewを見る限り、今もそうらしい)。それゆえ、エスノメソドロジーを本業とする研究者は2010年頃からHCI分野から去っていった。このあたりはStuart Reevesの論文に詳しい。

arxiv.org

そのあたりをうまくまとめられず、Paperは断念した。

時が経ち、LLM講座の二期が始まった。最終コンペでファインチューニングを行うのだが、その過程でMagpieという方法を発見した。これはLLMの能力の可視化に使えるのではないかと思い、CHI2025のポスターであるLate Breaking Work(LBW)への提出に挑戦することにした。抗うことはできなかった。

しかし、Magpieは重大な欠陥を抱えていた。動くLLMが限られているのだ。いろいろなLLMの指示理解能力を知りたいのにそれでは困る。このままでの論文化を断念し、じゃあMagpieで可視化しようとして失敗する過程をエスノメソドロジーで記述しようと考えた。抗うことはできなかった。

さて、ここでも前述のエスノメソドロジーの進歩とHCIとの関係の問題はついて回る。一方割と記述はしてしまった。じゃあ、やるしかないか。不完全ながらも書き上げ、submitした。

これ、だめじゃねえか?しかし送ってしまったのだから抗っても仕方がない。

そして23日、レビュー結果が届いた。10点満点の2点でreject。完全にゴミ。iPhoneのメール通知で見えちまったよ。

レビューの概要を述べる。詳しく述べるときつくなるので。視点は面白い。しかし何を明らかにしたいのかわからないし構造もぐちゃぐちゃ、言ってること曖昧だし読みにくい。システムも似たものがすでにあるし。

うん、書いてて「ここまでが限界だな」と思った段階で知ってた。

ここで前述の「この研究を一人でやろうとした」が効いてくる。正直、誰かにレビューしてもらえば多くは改善され、あわよくば通っていた可能性は高い。しかし、俺はそれをできなかった。

だんだん「破滅」が近づいてきたのがわかるだろう。

要するに、俺は無謀なテーマで、無謀な方法で、無謀にも人に頼らず研究をしたのだ。それを「研究者」と呼べるかどうかはもはや怪しい。

これは、前述の「謎」、つまり

ここでいう「謎」というのは、「RubyでうまくやっていてRuby Prizeも受賞し、いい感じに仕事もできているにもかかわらず、なぜ糸柳はそこに安住しないで他の場所を欲し、破滅していったのか」ということである。

んなことどうでもいいじゃねーか。個人の自由だ。その通りだ。だが、俺には突き刺さる。(以下削除)

につながる。俺も、一見して研究をしているように見えて、実際はほかの場所を探し、無謀に破滅していったのだ。現実の俺は死にかけのクズだ。だが、賞をもらってしまった。世界が横浜に来ていた。安住はできなかった。抗えなかった。

破滅に、引き寄せられていた。そこだけが、俺の受け入れ先だった。

抗うことは、できなかった。




以上の内容はhttps://niryuu.hatenablog.com/entry/2025/02/23/130624より取得しました。
このページはhttp://font.textar.tv/のウェブフォントを使用してます

不具合報告/要望等はこちらへお願いします。
モバイルやる夫Viewer Ver0.14