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文章の話

白樺派なのか、そうでないのか、いよいよわからなくなってきた。

 

里見とん『文章の話』岩波文庫、1993年。


里見とんによる、子ども向け文章読本。という、名目だが、実際は人間論であり、また人生論でもある。文章の書き方如何に関する話は、巻末にちらりと現れるだけだ。

彼の教えは、「書きたいことを書け」ということだった。

「文章の大事は、現し方にあるのではなく、現れるものにある」(219ページ)

たったこれだけの一文を解説するのに、この本は書かれているのだろう。くどいほどに噛み砕かれ、可能な限り易しく理解できるように、里見は語りかけてくる。だが「やさしいことのむずかしさ」という章題が表す通り、問いかけは易しいが、実際には恐ろしく本質的な議論が交わされているのだ。

「「馬を水辺へつれて行くのは易いが、飲ますことは出来ない」という外国の諺がありますが、飲みたくないとなったら、飼い馴らしてある家畜でさえ、必ずしも自由になるものではありません。ふだん水の好きな馬でも、飲みたくない時にはそうだのに、金の好きな人間は、いつ見せても飛びついて来る、この相違を、われわれは、一生恥と感じようではありませんか」(47ページ)

僕のこれまで知っていた白樺派とは、随分違った。明るい厭世家だ。始末に困る。彼は文章の書き方を、生き方として描いていた。書きたいことを書け。「you must will the thing you will」。「たい」ことを「たい」せよ。

じわじわと味わい深くなるような本だった。

 

 

〈読みたくなった本〉
里見とん『初舞台・彼岸花

 

谷崎潤一郎『文章讀本』

 

丸谷才一『文章讀本』

 



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