■知り得た企業情報の「守秘義務」がある!
――会社員が社内情報を外部に漏らすのは、法的に問題がありますか?
岩沙弁護士 法的に問題があります。
――どのような問題になりますか。
岩沙弁護士 従業員は、在職中、労働契約に付随する義務の一つとして、知り得た企業情報について守秘義務を負っています。そのために企業情報を外部に漏らすと懲戒処分(減給や降格、解雇など)や損害賠償請求の対象となります。
――なるほど。意識している人は少ないかもしれませんが、社内情報を漏らさないことは労働契約上の義務なのですね。
岩沙弁護士 ただし、会社の不正を外部の監督官庁、または報道機関などへ通報する「内部告発」に関しては、「通報者の保護」が図られるようになっています(誹謗(ひぼう)中傷、うわさに基づく内部告発は認められません)。
これは、2006年4月1日から施行されている「公益通報者保護法」によるもので、企業内でのさまざまな法令違反行為に対する「内部告発した人」を守るためにあります。
――社内規定というのはどの会社にもあると思いますが、それを破った場合、会社は法的手段に訴えられるのでしょうか?
岩沙弁護士 社内規定に合理性があり、かつ会社に損害があれば損害賠償請求をすることができます。また、懲戒処分(減給や降格、解雇など)となる可能性もあります。
■故意、過失は問わずに問題になる!
――日本の場合よくあることだと思いますが、居酒屋などで、ついしゃべっちゃったといった場合でも、法的に問題になりますか?
岩沙弁護士 当然問題となります。損害賠償責任は、故意がある場合だけでなく、過失しかない場合であっても発生しますし(民法第415条、第709条)、また、就業規則における懲戒処分の規定は、故意と過失とを問わないことが多いです。
――社内情報を漏えいしないように弁護士さんから何かアドバイスがあればお願いいたします。
岩沙弁護士 一昔前であれば、意図的ではない情報漏えいはあまり問題になることはなく、「口は災いの元ですので、くれぐれも社内情報を外部に漏らさないようにしましょう」とアドバイスをすれば足りたのかもしれません。
しかし、近年では、情報の記憶媒体はより小さく、情報の通信速度はより高速になっており、意図せずして大量の情報を漏えいしてしまうケースが増えています。
例えば、社内情報を入れておいた個人用USBメモリーをなくしてしまったり、ウイルスに感染していたことに気付かずにUSBメモリーや携帯電話を社内コンピューターに接続したところ、それによって大量の社内情報を漏えいしてしまったケースなどがあります。
個人用USBメモリーや携帯電話は、社内コンピューターに接続しないほうが安全です。
いかがだったでしょうか。やはり会社員は社内情報の取り扱いに細心の注意を払った方が良いようです。
⇒アディーレ法律事務所
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(高橋モータース@dcp)
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