ニューストップ > 国内ニュース > 社会ニュース
週プレNEWS
尾嵜さんは「あくまで机上の話です」と謙遜するものの、それでも夢のある話である。同プラントは今後受注販売されるが、すでに2件の受注がほぼ決定しているという。
ちなみに、四国では伊方原子力発電所(愛媛県)の再稼働が迫っている。その伊方原発の発電設備容量を考えた場合、うどん発電が伊方原発の肩代わりをするには、プラントを8万基ほど新設し、さらに(廃棄麺の割合が変わらないのであれば)香川県のうどん消費量を8万倍にしなくてはならない。さすがのうどん県民でも無理な話だろう。
「そこで、私が注目しているのは日本で年間2000万t出ている食品廃棄物。これを燃料にするのです。うちのプラントが年間1000tの廃棄うどんで18万キロワット時なので、その2万倍ですから、それなりの電力量にはなる。また、太陽光や風力より安定的にエネルギーを供給することもできるのも利点です」(前出・池津社長)
池津社長は食品廃棄物以外にも、牛や豚など家畜の糞尿からエネルギーを生む“クソ発電”の実現にも熱を入れているという。
「私は社会に貢献したいんです。そう思うようになったのはある体験がきっかけ。約18年前、弘法(大師)様(真言宗の開祖・空海)が建てられたお寺に依頼され、運搬用機器を作ることになり、現地で作業をしていたのですが、高さ約2mの場所から落下しそうになり、『死んでしまう』と思った瞬間、気を失ってしまいました。
ところが、意識が戻ると、私は何事もなく2m下の落ち葉の上に座っていた。ケガもなくね。弘法様に命を救われたのでしょう。それ以来、少しでも人のために役立ちたいと思うようになり、社会貢献事業に取り組んできました。うどん発電も、弘法様に助けてもらえたからこそ生まれたんです」
ちなみに、空海は讃岐出身で、香川県では「空海がうどんの技術を讃岐に持ち帰った」ともいわれている。うどん発電と空海の浅からぬ関係。それが脱原発につながるのなら、いろいろな意味でロマンがある。
(取材・文/コバタカヒト[Neutral])