ザックが会見で饒舌に語った意図

9月6日のグアテマラ戦、10日のガーナ戦に向けた日本代表発表記者会見が開催された。今月14日に行われたウルグアイ戦から外れたのは、駒野友一、高橋秀人、豊田陽平。代わりに入ったのは酒井宏樹、大迫勇也、齋藤学だった。

会見場に現れた監督はあまり表情を変えない。会場を見渡す監督の目の厳しさから、メディアとの関係は次第に緊張感を高めていると言えるだろう。

特にザッケローニ監督の表情が固まったのは、守備についての質問が出たとき。「守備陣に新戦力がいないのは代わりになる選手がいないからか、あるいはこのメンバーがまだ伸びしろがあると思っているのか」という趣旨の問いだった。

いつもは短く、まとまった答えをするザッケローニ監督が約7分間、通訳させながら話を続けた。

「私が思っている考えでは、一人の選手や一つのパート、ディフェンスラインのせいにするのはすごく簡単です。そうではなくて、他のパートとの絡みも考えなければいけない」

「逆にお聞きしたい。メッシはバルセロナでは違いを見せつけられるが代表ではそうでもない。それはチーム全体としてのコンディションであったり、チームがやりたいことができる時期があれば、できない時期もあるということだ。他の選手のコンディションの問題もある」

「結論から言えば、他のメンバーが思い当たらないと言うより、今呼んでいるメンバーを信頼しているし、高いレベルにある選手だと思っています」

「ディフェンスラインのコンディションを高めるのは大切で、我々の失点が多い試合はここ最近だと思いますが、それはヨーロッパのシーズンの終わりやシーズンが始まった時期と見事に重なっている」

「この期間で修正というのは、フィジカルコンディションを上げるのは10日間では難しいと思うので、監督としては、チーム全体を整備するということをやりたいと思うし、まずはディフェンスラインをもっとまとまった感じにする。中盤と連動できるかに注意していきたい」

「就任当初は決定力不足と言われてきましたが、少なくともみなさんからは言われてきましたが、そこは改善できました。これからは違うステップで改善しようと思っています」

「このディフェンスラインのメンバーは心の底から信頼しているし、世界中から好きなDFを取っていいと言われても大きく変えたくないと思うほど信頼しています」

守備の問題について質問されるのは想定内だったんだろう。そして、あまり聞かれたくない質問であったのは間違いないはずだ。

だから、いつも以上に監督は熱心に語った。ときに逆質問のような言葉も加え、決定力不足についての話を出し、監督は語り続けた。

批判に晒されているメンバーを庇いたいという意図もあったのだろう。ここで新メンバーを加えると、これまでのチームの骨格が崩れるという心配もあったのかもしれない。

だが本大会を守備陣全員がいいコンディションで迎えられるとは限らない。どんな時点でもうまく組み合わせを調整できる能力も監督には求められる。

9月の2試合で選手たちのコンディションがうまく整わず、不本意な失点が続くようだったら10月、11月の試合ではコンディションのいい選手を選んだほうがいいという声も大きくなるだろう。ザッケローニ監督がもうあまり長く話さなくていい会見が続いてくれればいいのだが……。