今年4月の日本選手権で鮮やかな復活劇を演じ、ロンドン五輪へ向けて大きな一歩を踏み出した北島。大舞台でのハイレベルな戦いに心をはせていたやさき、ショッキングなニュースが伝わってきた。北島が今最大のライバルと認めるダーレオーエンが、4月30日、合宿中だったフラッグスタッフで急逝したのだ。
北島が今年、前半27秒台中盤での入りを目指したのも、全ては彼に勝つためだった。
北島はツイッターでこうコメントした。
「涙が止まらないよ」
「彼はすばらしい選手だった。もう一度戦いたい。それが僕のモチベーションだった。心に大きな穴があいた。アレックスのご冥福を心よりお祈り申し上げます」
ダーレオーエンは高地合宿地のフラッグスタッフでは何度も一緒になり、日本へもコーチの平井の指導を受けに来ていた間柄だった。精神的にも落ち着いていて、大舞台でも自分の実力を確実に発揮してくる選手。26歳と年下でも尊敬できる彼と競り合い、平泳ぎの記録をもっともっと伸ばしていきたいと思っていたからだ。
不本意な形ではあるが、これで北島の3大会連続2冠達成は、現実味を帯びてきた。日本選手権で2分08秒00を出した200メートルは、立石諒と昨年の世界選手権優勝のダニエル・ギュルタが迫ってくるくらい。100メートルに関しては、世界選手権の2位と3位は59秒42と59秒49という状況だ。そんな中で北島が目標にするのは、世界選手権でダーレオーエンが出している優勝記録の58秒71を上回ることだろう。
好記録で、最高のライバルを追悼したい。それが北島の誓う、ロンドンでの務めだ。