その幕開けとなる同大会のメインは、当初の予定ではUFC世界ライト級選手権試合フランク・エドガー×グレイ・メイナードが行われるはずだったが、両者の負傷でランペイジ・ジャクソンとマット・ハミルのマッチアップがメインに昇格となった。
この後の興行ラッシュのなかで、ややさみしい編成になってしまったが、それはメインイベントの話で、PPVラインナップやプレリミナリーには興味深い対戦カードが集まっている。特に日本ファンにとって注目は、08年から日本の戦極を主戦場とし、SRCミドル級王者に君臨したジョルジ・サンチアゴの出場だろう。
4年半振りのオクタゴン出場は、サンチアゴにとってUFCというステージに対するリベンジ戦となる。06年の参戦では1勝2敗、しかも敗北した2試合はいずれもKO負けに終わっている。当時のサンチアゴは打撃を使おうとする柔術家、戦極のリングで見せた脅威のスタミナを誇る穴のないトータルファイターでは決してなかった。
その後、日本で戦った8試合。7つの勝利は2つのKO勝ちと4つの一本勝ちが含まれている。打撃で殴り負けるシーンもあったが、そうなればグラウンドへ。テイクダウンを奪われても、ガードから立ち上がり打撃で反撃、あるいは関節を奪うという様々な勝ちパターンを、サンチアゴは持つようになっていた。
このトータルファイターぶりが、UFCという世界最高峰の場で通用するのか。まずは、今回のブライアン・スタン戦が試金石となる。ズバリ、純粋にボクシングでいえばスタンが上だろう。特に伸びる右ストレートは厄介だ。
この右を掻い潜って、寝技の攻防にもちこむことができればサンチアゴの勝機はかなり高くなるが、打撃戦を避けて組みつく展開は、一歩間違えると消極的と取られ、ジャッジの印象を悪くする。ただし、ボクシングでは分が悪くとも、蹴り技を使いこなせば、スタンの拳を封じ込めることも可能だ。
サンチアゴがスタンドで必要なのは、右ハイ、あるいは右ミドル、スタンの上体を高くし、残った前足にローを蹴り込めば、テイクダウンへの道が開ける。日本のリングで積んできた経験を、北米MMAに昇華させることができれば、サンチアゴは5年半振りに勝利者コールをUFCで聞くことになるだろう。
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