ラモス(以下R):決して相手チームが手を抜いているのではないと思いますね。普通に考えると、満足な環境で練習できなかったのですから被災地のチームは不利だと思いますが、そのハンデをはね返す奮闘を見せていると思います。
M:相手チームは戦いにくいんじゃないでしょうか。報道もほとんどが被災地のチーム寄りですし。
R:僕は対戦チームのプレーヤーからそんな甘い雰囲気は感じません。どちらかと言えば、今ここで勝点を奪っておこうという、非情なプロ根性を見ますね。特に今、みんなが狙っているのは鹿島だと思いますよ。被災地だし、ACLもあるし、ここで何とか鹿島を引きずり下ろしておこうという気持ちでやっていると思います。再開戦の横浜FMが3-0で勝ったというのが象徴しているでしょうね。
M:開幕前の予想でラモスさんは鹿島を優勝候補に挙げていらっしゃいましたが……。
R:まだピリッとしていないですね。期待していた小笠原や中田も、もっとやれないとダメですよ。だけどまだ数試合をこなしただけですから、焦る必要はないのでしょうけれどね。オズワルド・オリヴェイラ監督は必ず立て直してきます。きっと大胆な先発メンバーの交代もあると思います。
M:こういう状況の時、監督はどんなことを指示しているものでしょうか。
R:僕だったら「相手から同情されているぞ。それでいいのか。このままずるずる負けたら来シーズンまで苦しいんだぞ。勝てばきっとオレたちの気持ちに応えてスポンサーもついて、楽になるけれど、今がその分かれ道だ」ということを言うでしょうね。ともかくまずはハートに火をつけたいと思います。
M:そうやれば被災地のチームは今シーズンを乗り切れるでしょうか。
R:いや、選手の気持ちを奮い立たせるだけでは苦しいですよ。最初はうまくいったとしてもあとできっとバテてくる。心配なのは仙台ですよ。マルキーニョスが帰国してしまった穴を埋めなければいけない。きっとそういうスカウト活動をクラブはやっているのでしょうが、一刻も早く見つけてほしいですね。この緊張感が続いている間に戦力を増強しないと、僕は終盤戦で本当に苦しい戦いが待っていると思います。
M:クラブが「補強しても大丈夫」と思うくらい、観客がたくさん入って後押ししてくれるといいですね。
R:それは大丈夫でしょう。だからこそ頑張ってほしいと思います。