これまでズッファは、スタジアムショーではMMAの面白さが観客に伝わることがないという立場を取ってきたが、一時期、ハワイ進出には現地のアロハ・スタジアムに進出という話があがり、今回のベースボール・スタジアムでの開催が実現した。北米MMAイベントの観客動員記録は2007年7月にLAメモリアム・コロシアムで行われたDYNAMITE!! USAの4万2000人とされており、当大会でこの記録が破られることは間違いない。
5万人以上の観客の前で、MMAらしさを伝える伝道者はUFC世界ウェルター級王者GSPだ。これが同王座6度目の防衛戦となるGSP。4度目の防衛戦となったダン・ハーディーを除けば、常に最強のチャレンジャーと対戦し、圧倒し続けてきたが、今回もまた最強中の最強の挑戦者を迎え撃つこととなった。
ジェイク・シールズは、2004年のプロ修斗世界ミドル級王座獲得を皮切りに、2006年はアンデウソン・シウバ、岡見勇信、カーロス・コンディットらが出場したROTR ウェルター級GP優勝、07年エリートXC世界ウェルター級王座、2009年ストライクフォース世界ミドル級王座と、UFC以外のMMAプロモーションで最高の結果を残してきた。
KOできる打撃、極めることができる寝技を有しながらテイクダウンを軸に、確実に勝利するスタイルの王者GSPに対し、シールズは見た目も迫力不足の打撃、頭の位置が逆で、その頭を抑えると自ら腹這いになってしまうテイクダウンを駆使し、MMA界最高のグラップラーという称号を持つ寝技力で勝利してきた。
トップコントロールでは他の追随を許さず、気が付けばマウントを奪っているシールズだが、特筆すべきはガードコントロールにある。「GSPの対戦相手は倒されても、クローズガードしか取れなかった」と豪語するシールズは、ハーフガードから多彩な仕掛けを持っている。テイクダウンから立たせる展開で、対戦相手の心身を削ってきたGSP、今回の防衛戦では一旦、グラウンドの展開になると、スタンドに戻るために自らが削られる可能性もある。
もちろん、左ジャブとローだけで試合をコントロールできる力を持つGSPだけに、今最強のチャレンジャーの挑戦さえ、圧倒的な力の差を見せつけることもあるだろう。その一方で、下手な打撃ながらKO負けがなく、殴られそうなタイミングで変則的なテイクダウン、あるいは引き込みを見せるシールズは、これまで経験したことのない対戦相手だけに要注意が必要だ。
GSPはトレーナーのグレッグ・ジャクソンと同盟関係を結ぶヘンゾ・グレイシーの下で、シールズの柔術対策を練っているようだが、元々シールズの師匠シーザーとヘンゾは、グレイシー一族内において特に強い絆で結ばれているだけに、どこまで綿密な対策が練られているかは不明だ。意外と鍵はグレイシー柔術になるやもしれない、現代MMAの最先端をいく一大決戦だ。
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