ソフトバンクは3番に内川、5番に小久保、7番に三冠王の松中。厚みが増した。オリックスは、開幕が伸びたことで故障の北川が間にあった。4番は盤石のT-岡田。李スンヨプは6番。
和田は低めに良く制球されていて、オリックス打線は手が出なかった。新人の駿太は子供扱いされている感じだった。木佐貫も悪くはなかったが、内川が良く振れていて、1回から得点を許した。この調子ではワンサイドゲームかと思われたのだが、ソフトバンクは4回無死満塁に無得点、7回の無死二塁からも 1点と好機に突き放すことが出来なかった。ブレーキになっていたのは松中だ。パワーは衰えていないのだがスピードに反応できていない。もはや「顔」で打つ貫録もなく、簡単に差し込まれていた。
以前から思っていたのだが木佐貫は、細い体のわりに球威のある球を投げる。回を追うごとに調子を上げた。反対に味方の援護がない中で、和田はだんだんに捉えられるようになり、バルディリス、後藤に一発を喰らった。12回引分。オリックスには勝ちに等しい引き分けだった。
■昼間の千葉ロッテ楽天戦は打撃戦になった。楽天の打線は昨年とは迫力が違う。1番に松井稼、6番岩村。千葉ロッテの成瀬は2006年デビュー。松井稼や岩村は初対戦。アマチュア時代にテレビで見ていたスター選手だ。多少の気おくれがあったかもしれない。二人とも「顔」で、千葉ロッテを圧倒していた。松井稼は、相変わらずコンパクトなスイングで球をはじき返していたし、岩村は豪快に振り回していた。島、山崎らにも良い影響を与えそうだ。
■そして日ハム西武戦。ダルビッシュは肉体改造をしてがっちりとたくましくなり、初回から150km/hオーバーをどんどん投げ込んでいた。この投手は「打ち取る」だけでは不満足で、相手を圧倒しないと気が済まない。特に同期の涌井との対戦だけに気合が入っていた。
しかし、昨年から続く「一人相撲」は相変わらずで、3回先頭売り出し中の浅村が安打で出て送られると新人秋山に死球、続く片岡の投ゴロを取ることが出来ず安打として先制された。身体がごつくなった分、動きが悪くなったのだ。この回の3失点は、ダルが一人で与えた得点だった。
7回の大量失点もあまり組んでいない捕手大野とのディスコミュニケーションが大きな原因だ。そして相も変わらず無駄球が多すぎる。
押しも押されもせぬ日本一の投手になのだから、もう少し「顔」で投げればよいのにと思う。少ない投球数で打たせて取るべきなのだ。ムキにならずに力を抜けば結果はついてくる。
清原和博の場合もそうだったが、野球選手のマッチョタイプへの肉体改造は、スピードとしなやかさを失わせるという点で、意味がないと思う。ダルビッシュはすでにパワーピッチャーとして日本でならぶものがない存在なのだから、これから身につけるべきは「パワー」ではなくさらなる「技術」だと思うのだが。
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