WEC併合後、UFC世界フェザー級選手権試合としてジョゼ・アルドにジョシュ・グリスピが挑むタイトルマッチ、そしてヘビー級のシェーン・カーウィン×ロイ・ネルソン戦が、それぞれアルドとカーウィンの負傷が原因でキャンセルされたが、五味隆典の出場する大会だけに日本のファンが持つ注目度の高さは何ら影響を受けないだろう。
その五味の対戦相手はクレイ・グイダ。UFC戦績7勝5敗だが、試合のインパクトは15勝分にも値する名勝負製造男だ。イメージ的には真っ向から殴り合いあい、倒してパウンド、あるいは極めを狙うグイダだが、殴り合ってはダメージを受け、そこから不屈の闘志で粘りを見せる、あるいは前半は猛攻をしかけながら逆転負けを喫することで、ファイト・オブ・ザ・ナイトを3度獲得してきた。
ただし、五味を相手に真っ向から殴り合っては勝てない。逆にいえば、殴り合いに乗ってくるようなら、五味の勝機が広がることになる。グイダ自身、ジャクソンMMAでトレーニングするようになり、よりスマートに戦う腹づもりになっており、「ゴミの正面には立たない」と明言している。
とはいっても、そこはクレイ・グイダ。五味の拳を前にして、抑えきれない闘争本能が目覚め、一発パンチを受けると、2発返してくるような姿勢で戦うことが予想される。打ち合いになれば五味は強い。ただし、打ち合いを避けられたときに、打ち合いに持ち込むだけの手段を五味がどのように講じることができるようになっているか。
UFCでトップ集団をキープするために不可欠な要素、五味の成長が確かめられる試合を、スカ勝ち以上に期待したいところだが、それはグイダの戦い方次第といえる。
もう一点、五味の不安要素が、グラウンドにあることは間違いないが、ケニー・フロリアン戦ほど、もろくないのも事実。あの試合はスタンドの攻防で、体力を削れた五味の思考が止まった状態でのグラウンド戦だった。疲れで酸素が脳に届かない状態で、ファイターが動くのは本能。五味はそんな状態で、正確な対応ができるほど寝技に本腰を入れていない。その分、KO率の高いパンチを持つことになる、両刃の剣的な五味のラッシングスタイルだ。
かつての五味を思わせる、テイクダウンから痛いパウンドを落し続ける作戦をグイダが実行できれば、五味にとって相当厳しい試合になるが果たして――。米国ファンはグイダ有利、日本のファンは五味勝利の声が多いこの試合、五味の拳に秘められた底力に期待が集まる。[
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