今年彗星のように登場し、彗星のように生涯を閉じた英雄…それはタコ。南アフリカワールドカップでドイツ代表の勝敗をことごとく予言し、決勝戦までの勝敗予想を完全的中させた占いタコ・パウル君。彼は先月末に2歳9ヶ月というタコとしては平均的な寿命をまっとうし、天に召されました。その報せは全世界に打電され、日本でも「もったいない…」「ワサビつけて食おう」「ツーンと涙が出そう」と多くのすすり泣きを喚起したものです。
しかし、そのスピリットはしっかりと継承されました。
Jリーグヤマザキナビスコカップ決勝を控えた11月1日。Jリーグ関連会社がこの世界的ブームに完全に乗っかる形で、新占いタコ企画を敢行。同日朝に横須賀・佐島沖で水揚げされた1.6キロの真ダコ。このタコを「築地の源さん」と名づけ、「タコなら何でもいいだろ」「本家は死んだからやり放題」「いっそイカのほうがよくなイカ?」という勢いで、勝手に2代目占いタコを襲名。磐田VS広島戦の勝敗を占わせたというのです。
築地市場「大辰魚類」に報道陣など30人以上が集まったというこの企画。そんな暇があれば練習場に取材に行けという話もあるでしょう。しかし、人間が練習する風景など何の面白味もありません。ぶっちゃけ、騒いでいるのは両チームの地元だけで、どっちが勝とうがどうでもいいのです。ならば今はタコを追いかけるべき。ビッグマッチの前にはタコが試合を占い、終わったら食べるという流れを、新たなムーブメントとして育てていこうではありませんか。
本来ならドイツの水族館が「パウルII世」を誕生させるのがスジだったとは思います。でも、向こうがやらないんなら、日本が受け継いでいくのもやぶさかではありません。いやむしろ、世界最大のタコ消費量を誇るタコ大国・日本こそ、タコ占いにふさわしい国。最終的に「試合前々日に水揚げ&占い」「試合前日その死を悼みつつさばく」「試合当日スタジアム内の売店でタコ焼きにイン」という流れができるのは日本だけ。「このタコが!」「お前の占いどおりにはさせんぞ」「大物食いだ!」などと言いながら、サポーターがハフハフやる姿がスタジアムの新名物となれば、天国のパウル君も大いに喜んでくれるに違いありません。
ということで、サンフレッチェ広島によく似合うタコ茶番について、早速チェックしていきましょう。
◆「築地の源さん入りタコ焼き」が8個300円なら買わずにいられない!そんなタコが占ったナビスコカップ決勝。ドイツ版では水槽にエサを入れ、どちらのエサを食べるかで勝敗予想としていました。しかし、この方式にはエサの大きさ・新鮮さなどで調整が効くのではないかという懐疑的な見方もありました。要するにタコじゃなく飼育員の予想なのではないかと。その点、日本式は不正の要素を排除。2種類のタコ壷のどちらに入るかで勝敗予想としたのです。
↓築地の源さんはサンフレッチェ広島勝利と予想!元祖のパウルくんはえさが入ったプラスチック製のふたつの容器から『勝者』を選択していたが、源さんはえさ無しのタコつぼ。磐田と広島のエンブレム入りのタコつぼが用意された水槽の中央に投入されると、しゅん巡した後に広島のつぼに突入した。初予想に興奮したのか、高らかにスミを吐き出す場面もあった。
パウルくんに続け!タコの源さん広島V予想/サッカー/デイリースポーツonline
何が「初予想に興奮したのか、高らかにスミを吐き出す場面もあった」だwwwww
この結果には、メディアも広島選手たちも大歓喜。「タコが勝利を予想しましたよ」「マジすか!?嬉しいです」なんてほのぼのしたやり取りができるのは、全チームでも広島くらいしかないでしょう。あわよくば「タコにちなんだパフォーマンスを考えている」なんてリップサービスまで出てくるかもしれません。サッカー選手の中には、自分が質問に対応できない程度の頭のめぐりであることを棚に上げ、「で?」などという返事をする輩がいます。「で?」はエンターテナーとしては最低の返事。乗るか反るかはともかく、受け止めて華麗に切り返してほしいもの。
↓その点、広島選手たちのコメント力はさすが!槙野:「源さんのためにも頑張る。本当に勝てたらクラブハウスで飼いたい」
下田:「ナイス、パウル(^-^)v」
那須:「パウル君じゃない普通のタコでしょ。別に気にしません」
佐藤:「タコ予想?(本家の)パウル君ならまだしも、築地で適当に買ってきたんでしょ。そういうタコに大事な試合を予想されても…。まぁ、タコのためにも頑張りますよ」
タコ:「うわ、ネタにマジレス」
タコ:「パウル君も普通のタコだろ」
タコ:「クラブハウスでは広島産カキを所望する」
寿人のマジレスクソワロタwwwwww
選手からは飼いたいというオファーも飛び出したこのタコ。正直、関係者も思いつきの勢いだけでやった企画のため、身の振り方は考えていなかったもよう。関係者の夕食にしようという食料品としての扱いから、天皇杯も予想させようというタレントとしての扱い、海に帰そうという愛護論まで喧々諤々。最終的には「飼い方がわからない」ためタレント派が飼育を断念し、海に帰すことが決まったもよう。
今頃はもう東京湾でいつもの暮らしに戻ったであろう源さん。やがて子を産み、育て、その子らが再び築地にやって来ることもあるでしょう。そのとき、「僕のお父さんが始めた占いだよ」と息子たちが自慢できるよう、しっかりとこの文化を育てていきたいものですね。
↓一方その頃、競輪界はタコ占いに加えカブト虫占いも実践していた!人間は予想してよくて、タコやカブト虫がやっていけない道理はない!
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フモフモ編集長
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