◎2009年9月〜はじまり〜
中国紙広西新聞によると、詐欺のターゲットとなってしまったのは、広西チワン族自治区崇左市で暮らす李という名の26歳の男性。すべての始まりは、李さんが新聞に結婚相手募集の広告を出したことだった。2009年9月、李さんは地元紙に結婚相手募集の広告を出し、大学教員(自称)の江という女性から電話を受ける。2人は電話やショートメッセージで連絡を密に取り合いながら、少しずつだが愛を育んでいった。
しかし、そうした生活が幾月か続き、お互い打ち解けた関係になっても、この江という女性は李さんと一切会おうとはしなかった。2人で会う約束を取りつけても、実際に会う段階になると、彼女は何かしらの理由をつけて断るのが常。そして、そんな江の振舞いに痺れを切らした李さんの家族が、江の所属先である大学に連絡したところ、驚くことに江という女性は実在していないことが判明した。李さんは江に騙されたと思い、彼女との関係を断つことに。2人が知り合って半年以上が過ぎた2010年3月のことだった。
◎2010年4月〜新たな出会い〜
その翌月、李さんは諦めず、2回目の結婚相手募集広告を新聞に掲載。掲載から間もなくして、今度は呉夢●(※女偏に亭。ウー・モン・ティン)と名乗る女性から連絡が入る。呉は李さんに美しいプロフィール写真を送るとともに「25歳の独身女性、大学で先生をしています」と自己紹介。電話やショートメッセージ、チャットを通じて再び2人の男女の関係が始まった。
2010年4月初旬、李さんは呉に会うため、彼女が暮らす街に出向くことを決意。しかし、先の江と同様、この呉も李さんとは会おうとはしなかった。会いたくても会ってくれない呉に、李さんは徐々にフラストレーションを溜めていき、2人は電話口でケンカをするようになってしまう。
そんな矢先のこと。4月23日朝、李さんは意外な相手から一通のショートメッセージを受け取る。それはすでに連絡を断った江からだった。内容は彼女の両親が李さんに会いに訪れるとのこと。そのときすでに江よりも呉にすでに思い入れが強くなっていた李さんは、呉にこの件を知らせることにした。
そして、この報告が2人の関係を急発展させることになる。呉は李さんと江の愛情のもつれを知らされた自分の父親が「心を痛めて自殺した」と涙ながらに話し、3か月後に必ず返すという約束で、李さんに葬儀費用を貸してもらえないかと打診してきたのだ。
李さんは呉への愛情、そして自分も少なからず呉の父親の自殺に関係していることを気にしたのか、彼女にお金を貸すことにした。4月26日、李さんは彼女が暮らす街を訪れ、呉の“代理”として現れた学生の女に36,000元程度の現金が入った口座の銀行カードと、5,000元の現金を手渡すことに。女は「先生(呉)に頼まれて来た」と言い、「先生はとても美しい人」と李さんに話したという。
その翌日、李さんは呉に電話をかけ、「お金は足りたのか」「お父さんが亡くなられた後はどうか」などといろいろと気遣った。すると呉は「大丈夫よ。もしお金が足りなかったら、自分で何とかする。最悪、車を売るわ」と答えたのだが、この健気な態度が李さんの同情を買い、李さんはさらに20,000元の為替を呉に送ることにした。
◎2010年5月末〜誘拐〜
このように実際に会わないながらも、呉との距離を縮め、愛情を少しずつ育んでいった李さん。しかし、2人の出会いから2か月近くが経とうとしていた5月31日の夕方、李さんのもとに1本の電話が入る。電話の相手は呉。これから車を運転して出かけるところだという。しかし、その数時間後にまた呉から電話が入り、とても焦った声で「トイレに行こうと立ち寄った場所で変な人たちに囲まれた」と李さんに助けを求めた。李さんはすぐに「早く車の中へ! 外は危ない」と彼女に指示を出したが、呉が「助けて……」と話したところで電話は途切れてしまう。これに驚いた李さん。すぐに学生の女に電話で連絡し、こちらへ来て一緒に彼女の捜索に向かうように願い出た。