J1の第20節は大宮アルディージャと
ベガルタ仙台が対戦。
5勝8敗6分けで12位の大宮アルディージャはここ5試合で3勝2分けと好調。一方の
ベガルタ仙台は3勝10敗6分けで16位。リーグ戦では第5節以来勝利なしの状態が続いている。
ホームの大宮は<4-2-2-2>。GK北野。DF渡部、深谷、坪内、村上。MF李浩、青木、藤本、市川。FWイ・チョンス、石原。FWラファエルは欠場。
アウェーの仙台は<4-2-3-1>。GK林。DF田村、渡辺、鎌田、朴柱成。MF斉藤、富田、関口、梁勇基、フェルナンジーニョ。FW赤嶺。FC東京から加入のFW赤嶺がスタメン出場。移籍後初ゴールを目指す。MF斉藤は今シーズン初スタメン。DF朴柱成のコンディションが回復してスタメン復帰。
■ 仙台が圧勝
試合はずっと勝利が無いという状況が信じられないほどアウェーの仙台がハイパフォーマンスを見せる。前半3分に右サイドからのクロスをMFフェルナンジーニョが決めて先制すると、さらに前半34分にもMF斉藤のミドルシュートに対して、ゴール前のFW赤嶺が上手くコースを変えてゴール。前半で2点リードを奪う。
後半も仙台ペース。なかなか決定機に決め切れずに3点目を奪えずにいたが、後半20分にMFフェルナンジーニョが見事なドリブルからのシュートを決めて3点目。勝利を決定付ける。
結局、大宮はシュート9本のみ。シュート20本を放った仙台がアウェーで3対0の圧勝。久々の勝利を飾った。一方の大宮はホームで完敗に終わった。
■ 久々の勝利
ずっと勝利が無くて15位のチームとの差が広がりつつあった仙台であるが、残留の可能性を広げる大きな勝利を飾った。相性のいい大宮に対して序盤から仕掛けると、素晴らしいタイミングで3つのゴールが生まれた。まさしく理想的な展開で4月4日以来の勝利を奪った。
これで勝ち点を「18」に伸ばした仙台は、勝ち点「21」で13位の大宮、勝ち点「20」で14位のFC東京、同じく勝ち点「20」で15位の神戸と3ポイント以内となって、16位を巡る攻防は熾烈になって来た。
気がかりなのはDF朴柱成でようやくスタメンに戻ってきたが、体のキレも見られず、判断のミスも多かった。仙台は次節は17位の湘南とホームで対戦するが、この試合を確実に勝利出来れば降格圏内を脱出できる可能性は高くなる。非常に大事な試合であるが、大一番までにトップコンディションに近い状態まで戻せるだろうか?
■ 新しいダブルボランチ
仙台はMF千葉ではなくてMF斉藤をスタメンで起用。J1でも経験豊富なMF斉藤は今シーズン初スタメンだったが、攻守にわたって積極的にプレーし、3対0の快勝に大きく貢献した。MF冨田とのコンビも良好で、ダブルボランチが持ち味を発揮しきれなかった大宮とは対照的だった。
これまでスタメンだったベテランのMF千葉の貢献度も決して低くはなかったが、これだけ勝てない時期が続いていたこともあって、ボランチのポジションのテコ入れが必要だったが、この試合のMF斉藤のプレーを見ていると、「もう少し早い時期にMF斉藤をスタメンで使ってもよ方のではないか?」という気もしてくる。
「守備力」や「コンビネーション」ではMf千葉が優れているが、「キープ力」や「展開力」はMF斉藤が優っている。ボールコントロールが上手いので、囲まれた状況になっても前を向いて次の展開につなげることが出来る。この日の2点目のゴールもMF斉藤が前を向いてシュートを放っていったプレーから生まれたゴールだった。
■ 赤嶺は初ゴール
FC東京から加入してきたFW赤嶺が3試合目の先発で移籍後初ゴールを記録。MF斉藤のシュートに対してうまく足を出してコースを変えたFW赤嶺らしいゴールだった。
ここ1・2年ほど、FC東京では持ち味を発揮しきれていなかったFW赤嶺であるが、1トップ気味の仙台の布陣にもうまくフィットしていて、ベガルタのユニフォームも良く似合っている。FWフェルナンジーニョ、MF関口、MF梁勇基とチャンスメーカータイプの選手が周りに多くいて、あまりボールを持って仕事をするタイプではないFW赤嶺との相性は悪くなく、補完性もある。
センターフォワードタイプは新外国人のFW朴成鎬に加えて、怪我から回復してきたFW中原もいるが、どうやらしばらくはFW赤嶺がファーストチョイスになりそうである。
■ キレキレのフェルナンジーニョ
2ゴールのMFフェルナンジーニョ。これで通算で7ゴールとなったが、この試合はキレキレの状態で止めようがなかった。ボールを持たないときの動きに優れていて、一瞬の隙を突いて仕事をするタイプFW赤嶺と、常にボールを持ってプレーしたいタイプのFWフェルナンジーニョという2トップはいい関係である。
1人で打開することが出来るからこそ持ち過ぎの傾向もみられて、チームが悪い状態のときは余計にその「持ち過ぎ」が表立ってしまうMFフェルナンジーニョだが、この日は周囲との連携も良かった。
■ 機能しなかったダブルボランチ
一方の大宮は勝てば残留争いから抜け出せそうなキーポイントとなる試合であったが、まさかの完敗。前半3分の失点が痛くて、相手の思い通りのサッカーを許してしまった。前半34分の失点も展開を難しくして、FWラファエルのいない中で、反撃ムードも盛り上がらなかった。
新外国人で韓国代表経験のあるMF李浩をスタメンで起用したが、MF青木とのダブルボランチは全く機能せず。センターハーフを2枚並べるようなイメージでピッチに送り出したのかもしれないが、中盤の守備がスカスカになって、MF関口、MF梁、MFフェルナンジーニョに好き放題にやられてしまった。まるで悪い時のジュビロ磐田の中盤を連想させるようなルーズさだった。
■ イ・チョンスは不発
期待される元韓国代表のFWイ・チョンスも不発。左サイドから何度か仕掛けるシーンがあったが、いずれも単発で中に切れ込んでシュートを放つ得意のパターンも封じられてしまった。
この日の大宮の前線は、FW石原、FWイ・チョンス、MF藤本、MF市川と小柄でテクニックやスピードを武器にする選手が並んでいて、攻撃に広がりが無かったので気の毒な部分はあったが、「日韓ワールドカップのスター選手」といわれる経歴に見合ったプレーではなかった。
FWラファエルが戻ってくるとまた違った形になるかもしれないが、3試合を終えてそろそろ目に見える結果が必要な時期になって来た。