グループCの2戦目。2002年以来、2度目の本大会進出を果たしたスロベニアとアフリカのアルジェリアが対戦。スロベニアはFWカーリッチ、DFミリノビッチ、FWラフリッチと3人のJリーガーの出身国である。アルジェリアは元フランス代表のMFジダン両親の母国である。
■ コレンの決勝ゴールグループCで「2弱」という前評判の両チームの対戦は、スローな展開となった。アフリカ代表ではあるが、いわゆるブラック・アフリカン特有の驚異的な身体能力を有するわけではないアルジェリアは、かなり慎重な立ち上がり。対するスロベニアも運動量が少なく、ほとんどリスクを冒さない。ほとんど見せ場もないままで前半を終了する。
後半になるとアルジェリアがペースを握る。動きの重いスロベニアに対して、アルジェリアはボールの無い選手の動きも出てきて、チャンスを作り始める。ただ、アルジェリアもラストパスの精度を欠いてシュートまではなかなか持ち込めない。
ターニングポイントになったのは後半13分から途中出場したアルジェリアのFWゲザルが2枚目のイエローカードで退場になったシーン。押し気味だったアルジェリアはFWゲザルの不用意なプレーから10人になると、スロベニアが反撃開始。後半34分にゴールやや左寄りでボールを持ったMFコレンがミドルシュート。それほど難しくないシュートに見えたが、アルジェリアのGKシャウシが防ぎきれずスロベニアが先制ゴール。
結局、これが決勝ゴールになってスロベニアが勝利。歴史的なワールドカップ初勝利を飾った。
■ ワールドカップ初勝利2002年大会はジェフ市原に所属していたDFミリノビッチとエースのFWザホヴィッチを擁して初出場ながらダークホースと目されたスロベニアだったが、そのFWザホヴィッチがカタネッツ監督と対立して大会途中に強制となり、あえなく3連敗となったが、リベンジの8年後の南アフリカ大会で初勝利を飾った。
決してサッカー自体は褒められたものではなかったが、小国が我慢してつかんだようやくの初勝利。政治的な問題もあって豊かなない国であるが、国民の喜びは相当なものだろう。日韓ワールドカップでロシアに勝利して日本が初勝利を飾った試合を少し思い出した。
■ 大きかったレッドカードどちらかというと押し気味だったアルジェリアにとっては、レッドカードで人数が少なくなったのが痛手だった。スロベニアのゲームプランもあまりはっきりとしておらず、スコアレスドローでもOKと考えているのか、という気もしたが、数的優位になったことで少しスロベニアも前掛かりになって、その結果として決勝ゴールが生まれた。
確かに、あの場面でうまくトラップできればビッグチャンスになっただろうが、明らかにトラップするのは難しい高いボールであったし、すでにイエローカードをもらっていたことを考えると、軽率すぎたと言える。
■ 不規則なシュートシーンスロベニアのMFコレンが放ったシュートはあまりいコースではなくて、GKが簡単に処理できそうなボールであったが、直前で不規則なバウンドをしたのか、GKがそらしてしまった。これはポジショニングがよくなかったような印象を受けた。
それにしても、今大会のボールは不規則であり、高地での試合が多いこともあって、シュートをふかすシーンとクロスが大きくなるシーンと、サイドチェンジが通らないケースが目につく。スロベニアが勝利を飾ったが内容はイマイチであり、他にもギリシャやフランスといった欧州勢の内容と結果があまりよくないことにも関係しているような気がする。
特に怖いのはバウンドしたボールが異常に跳ねてゴールキーパーの頭を飛び越えてゴールに吸い込まれそうになることである。先発出場が予想される日本代表のGK川島は前に出るタイプのゴールキーパーなので、注意してもらいたいところである。
■ 不満足な実況白熱した試合になると、実況や解説が誰であるかについては、あまり関心が無くなってくるが、この試合のように盛り上がるポイントの少ない試合であると、興味をつなぐためにいろいろと実況や解説の人に工夫を凝らしてもらいたいところであるが、その観点から言うと、かなり不満残る中継だったと言わざる得ない。
「アルジェリアがジダンのルーツ国であること。」と「オシム氏がスロベニアを絶賛していたこと。」は、放送中に一度、言ってもらえれば理解できるので、そう何度も同じことを繰り返されてもリアクションに困ってしまう。
イングランドやオランダといった誰でも知っているようなメンバーがスタメンに並ぶチームとは違って、アルジェリアやスロベニアといった国とその選手について、詳しく知っている人は少ないだろう。視聴者に語るべきネタはたくさんあったように思うが、あまり工夫はなくて、リプレーを見ているような単調な中継だった。
ワールドカップとなると、試合が続いていくので、テレビ局によって上手い・下手がはっきりと分かれてくる。ドイツ大会以後、日本代表の試合の視聴率が下がってきているのは、オシムジャパンや岡田ジャパンの試合内容だけが原因ではないように思う。
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