会場では、インテル 吉田社長が自ら秋葉原のパソコンショップへ赴き、パソコンのパーツを購入して組み立てたCore i7-980X搭載の自作パソコンを紹介するなど、同プロセッサーに対する並々ならぬ意気込みが感じられた。それもそのはず。「Core i7-980X」は、コンシューマー向けの製品としては、最強最速のプロセッサーだからだ。
しかし、パソコンに詳しい人でも、どれくらい凄いプロセッサーであるのかを、詳しく説明できる人は少ないだろう。
そこで今回は、自作パソコンを究極の爆速マシンに変えてしまう、最新プロセッサー「Core i7-980X」にフォーカスしてみよう。
■「Core i7-980X 」を支える3つの技術「Core i7-980X 」には、さまざまな最新技術が盛り込まれているが、数ある技術のなかでも中核をなすのは、次の3つの技術だ。
●キャッシュメモリーを強化 - 3次キャッシュプロセッサーの処理を高速化させる技術には、「キャッシュ」と呼ばれるものがある。キャッシュは、データを一時的に記録して、必要なときにキャッシュから読み込むことで、処理速度が劇的に上がるのだ。
「Core i7-980X」は、CPUコアで共有する内蔵の3次キャッシュを8メガバイトから12メガバイトへ増やすことで、メモリーモジュールへのアクセスを軽減してパフォーマンスを向上させた。
●疑似12コアCPUとして動作 - ハイパースレッディング「Core i7-980X 」は、32nmプロセスによる初めて6コアのデスクトップパソコン向け製品であり、最大の魅力は12スレッドのマルチタスクが可能な点だ。
12スレッドとは、マルチスレッド対応アプリケーションにおいて、CPUが同時に12の異なる処理を実現できるということ。インテル Core i7-980X プロセッサーひとつで、なんと、シングルCPUの12個に相当する。
●オーバークロックを自動化 - ターボブーストある意味において、おきて破りの機能ともいえるのが「ターボブースト」だ。ターボブーストは、一時的にプロセッサーのクロックを上げる(オーバークロック)機能だが、そもそもオーバークロックはシステムが不安定になる危険性があるため、一昔前までは推奨されてはいなかった。
しかし、技術革新により、状況が一変した。「Core i7-980X」の場合、マルチコア未対応のアプリケーションでは、あまっているCPUコアの電力を動作中のCPUに供給して、CPUコアをオーバークロックの状態にする。マルチコア対応のアプリケーションであっても、各CPUコアに掛かる負荷が低ければ、自動的にすべてのCPUコアをオーバークロックの状態にできるのだ。
●どれぐらいのパフォーマンスが期待できるか「Core i7-980X」が高性能なプロセッサーであることは理解できたが、デスクトップパソコンが同プロセッサーを搭載すると、どれくらいのパフォーマンスが期待できるのだろうか。
パフォーマンスはプロセッサーだけでなく、グラフィックスカードやマザーボードなどのパソコン環境の違いで大きく異なるが、インテルの公式な発表では、前世代のハイエンドプロセッサーと比較して、ビデオ画像への映像効果で34%(Adobe After Effects)、3Dレンダリングで37%(CINEBENCH 10.0)、ゲーム用の計算や人工知能での利用で49%(3D Mark Vantage CPU)、処理速度の向上がみられた。
「Core i7-980X」は現在、デスクトップパソコンのみの展開だが、これまでがそうであったように、ノートパソコンの世界でも今後、同プロセッサーの技術を搭載した新プロセッサーが登場してくる可能性も高いと言えるだろう。
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