仕様から言うと現在のF-1ブレーキは下記の通りだ
キャリパー(前後) :アルミ合金鍛造モノブロック 対向6ピストン
ローター(前後) :カーボン 280mm x 26mm 1キロ以下!
パッド :カーボン サイズは規定でローター同様前後同サイズ
レース年度によってキャリパーピストンサイズの規定が変わるが、多少前側が大きいピストンを使用するといった程度の違いしかない。
このスペックを見て、感想はどうだであろうか? カーボンなので軽いことはさておき、おそらく「なんでそんなに小さいの?!?」というのが本音ではなかろうか。
ホイールが13インチであるから、それが大きな理由といえばそれまでだが、いくらカーボンとはいえ、そんなに小さくてどうやって5Gものブレーキングフォースを作るのか?
もちろん、それはカーボンカーボンブレーキの威力もあるが、600kgという車重、エアロダイナミクス、そして、超が付くほどのグリップ力を持ったタイヤのおかげにほかならない。
ルマンのLMPクラスの車は、車重が1,500kg程度でローターサイズは前後380mm、キャリパーは鍛造モノブロックの8ピストンと、同じくカーボンカーボンだ。
しかし、これでもやはりF-1のブレーキのストッピングディスタンスには全く敵わない。F-1ブレーキ恐るべし…。
やはり車重の恩恵は大きいんだと、スペックからでもお分かりになると思う。
写真は実際にトヨタのF-1車両で使用されていたキャリパーである。 パッド、ローターもそのままのものである。
通常は購入することができない。新品をチームに下ろす価格はなんと前後セットで1,000万円超というから恐ろしい・・・R35 GT-Rより高いのである。
だが、やはり勝つためにはブレーキが最大の要なので、そこには惜しみなくお金を注ぐのが常。
値段は高いが、高い技術力が注がれているので、しょうがないところである。
また、余談だがカーボンブレーキは熱が入るまで「効き」が悪い。そのため、フォーメーションラップではドライバーはほとんどブレーキペダルを踏みっぱなしだそうだ・・。
おそらく無理だろうが、死ぬ前に一度はF1のブレーキングを体験してみたいと思うのは私だけだろうか。
(文:エコフォース 神保)■トレビアンカーズとは……トレビアンカーズとは車に特化した情報を提供する媒体です。
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