■覚えきれないほどのメーカー数が参入 中国内での携帯電話販売シェア数は海外勢が6から7割、
中国メーカーが3から4割というのが最近の情勢だ。NokiaやSamsungなど海外メーカーは数千円のローエンド端末から10万円を超えるハイエンド端末まで多数のラインナップを用意しており、あらゆる所得の消費者をターゲットにするべく毎月のように新製品を投入している。各メーカーが販売する端末の種類は常時10種類を超えており、1メーカーだけの専門販売店の数も多い。これだけ種類が多いと「Nokiaにしようか、Samsungにしようか」ではなく「Nokiaのどのモデルにしようか」と同じメーカー内だけで商品を選ぶことも可能になるほどだ。
一方、
中国メーカーは海外メーカーに負けじとこちらも多数のモデルを投入しているが、世界一の市場だけに参入メーカーの数も尋常な数ではない。大手メーカー、中規模メーカー、小メーカー、そして無名メーカーをあわせるとその数は100を超えているとも言われている。
中国のショッピングWEBサイトを見ても、日本では名前を聞いたことの無いようなメーカーの携帯電話が山のように販売されてるのだ。
たとえばIBMのパソコン部門を買収したLenovoやリーズナブルな白物家電を販売してるHaierなどは日本でも比較的名前の通ったメーカーだろう。BirdやAmoi、TCLといった老舗のメーカーも
中国では大手クラスだ。ほかには携帯電話だけではなく設備なども手がけている総合通信メーカーのHuaweiやZTEのような業界で著名なメーカーまでも携帯電話やデータ通信カードなどを販売している。そして日本でもラインナップを増やしつつあるスマートフォンのメーカーHTCも
中国ではDopodブランドで多数のハイエンド端末をリリースしている。
また最近では家電メーカーの参入も相次いでおり、
中国のテレビ市場では最大手クラスの長虹やSkyworksといった「
中国人なら誰でも知っている」メーカーも携帯電話を販売している。金立、天語、歩歩高、このあたりになると名前を知っている日本人の数はぐっと少なくなるだろう。そして金鵬、Telsda、国信、万時通に至るとメーカー名から携帯電話を想像することのできる日本人は皆無ではないだろうか。
さらにここ1〜2年で急速に数を増やしているのが無名メーカー。これらの製品はメーカー名すらきちんと表示されていないような製品も多い。また無認可で製造された「闇製品」と言われるものまである。無認可品はもちろん一般小売店では販売できないが、携帯マーケットなどへ行けばいくらでも売られているのが実情だ。この無名メーカー品は外観は異なっていても中身はほぼ同じもので、OEMメーカーから供給を受けて外側だけ変えて自社ブランドとして販売されている。このためパッケージのメーカー名と端末のブランド名が異なる、といった日本では考えられないような「適当な製品」も多く見受けられるのだ。これら無名メーカー品を販売している「携帯マーケット」に行ってみると、もはや何十機種(百機種)が販売されているのかも分からない数の携帯電話が売られている。
もちろんのことだが、前述したLenovoなど大手メーカー品にはこのような怪しい製品は一切無い。
中国でもブランド力の通ったメーカーの製品は海外にも輸出できるきちんとしたものである。
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中国では大手携帯チェーン店だけではなく、中規模の専門販売店もある。地方都市でも必ず携帯ショップがあるのはさすが「世界最大の携帯市場」中国ならではだ。 | Lenovoはパソコンだけではなく携帯電話も出しており、中国ではシェア1位だ。スタイリッシュな端末やPDA機能内蔵端末などもある。なお今回は販売店のショーケースを撮影したので、やや見にくい画像があることをお詫びしておく。 |
![](https://image.news.livedoor.com/newsimage/C/d/1d103dc984db0b7e5c06b51e0543c335-m.jpg) | ![](https://image.news.livedoor.com/newsimage/i/7/5971c7c9bb1a49a31af1bf19eb8aa553-m.jpg) |
金鵬、醜派(Coolpad)なども中国ではそこそこ知られている。CoolpadはGSM/CDMAデュアル方式対応でWindows CE.Net搭載のスマートフォンライクな製品を出すなど、日本では知られていない「高機能端末メーカー」でもある。 | 無名メーカーの携帯電話。見た目は違っても中身のUIは同じものがほとんどだ。ここに写っているのはごく一部であり、その種類は数十以上にも上る。 |
■今年の流行は「デュアルSIM」&「手書き入力」 これら
中国メーカー品は、たしかに製品クオリティーは海外メーカー品より一歩落ちるところがある。無名メーカー品には、いかにも「安物
中国製」的な製品もあるのは事実だ。しかし著名なメーカーになるほど品質も高くなっており、多機能スマートフォンなどは海外メーカーにも負けない品質のものもある。
また機能をみても、最近は「デュアルSIMカード」、「手書き入力」が大流行している。SIMカードを2枚入れて回線を使い分けつつ、メッセージは手書きでスラスラ入力する、そんな光景が
中国ではあたりまえになりつつある。「手書きすらできない携帯電話なんて低機能だから使いたくない」と豪語するような
中国の消費者もいるくらいなのである。そのほか音楽再生や動画再生も一定のクオリティーに達している。スピーカーも音質は二の次で大音量再生に力を入れたものも多く、屋外でラジカセ代わりに音楽を聞くことも可能だ。
![](https://image.news.livedoor.com/newsimage/o/7/960e87072c641650975e2cbc4a214e3e-m.jpg) |
天話の携帯電話。画面下にアイコンのような表示が見えるが、ここをペンでタップしてメール機能などをワンタッチで起動できる。すなわち液晶がこのような様式の端末はスタイラスペン操作&手書き入力対応だ。 |
もちろん日本人の目からみれば「安物」と思える製品が多いのも事実だが、これだけ多数のメーカーが独自の機能も搭載した端末を投入し、消費者が欲しいと思った端末だけを買っていくことによりメーカーも自然に淘汰されていくのだ。
中国の大手ポータルサイト「sinaドットコム」の携帯電話情報サイトには海外・国産をあわせてなんと160メーカーの製品が紹介されているが、いくつかのメーカーは2008年モデルが無く市場から撤退しているようだ。
毎年買い換えるのであれば1年で壊れてもいいだろう、と割り切った製品を発売しているメーカーもある。日本ではそのような製品を消費者は到底受け入れないだろうが、
中国では消費者の携帯電話に求める考え方が様々で、「安ければよい」と考える消費者の数も多い。このようにメーカーが自由な思想で端末を設計、販売し、消費者が自由にそれを選ぶ。これにより消費者ニーズにフォーカスできた製品だけが市場に残っていくのである。今後も
中国ならではの機能を持った新しい製品が続々と登場するだろうし、それらの機能が海外市場でも採用される可能性も高いだろう。
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【世界のモバイル】記事バックナンバー山根康宏
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