米PGAツアー選手というと華々しいイメージを抱きがちだが、本当に華々しい生活ができるのは頂点にいる数人だけ。底力はあれど知名度や人気はいまひとつで、シード選手だけれど成績はそこそこというフレッシュのような選手こそが、むしろ米PGAツアーの典型的な選手像。そして、典型的な選手たちは、自らの選手生命を守るために、結構、地味な努力を重ねており、そんな地道な努力が実ったとき、「優勝」の2文字が頭上に輝くのだ。
日本人で唯一、決勝を戦った丸山大輔は、前半2バーディ、4ボギーとスコアを落としながらも後半は3バーディで挽回し、最終日はスコアを1つ伸ばして71、通算7アンダー39位タイとなった。「今日は4日間で風が一番難しかった」と言いながらも、コツコツと地道なプレーを重ねた丸山。「やっとバーディが取れるようになってきた。良くなってきている感じはある」と好感触を得た様子だ。来季シード権が獲得できる賞金ランク125位以内は、まだまだ遠いが、フォールシリーズの残り6試合に意欲的に、しかし地道に臨む気構えだ。来週のフォールシリーズ第2戦、バイキングクラシックには丸山大輔と丸山茂樹が出場予定。今田竜二は1週間、オフを取る。
ところで、今大会の開催コースはニューヨーク州ベローナにあるターニングストーンリゾート内のゴルフ場。その名は「Atunyote GC」なのだが、見ただけではなんとも発音しようがない。地元の人に頼んで発音してもらったら「アドュニオート」なのだそうだ。「tu」は「テュ」ではなく「d」の音で「du」と濁るらしい。なんだか英語っぽくないなあと思ったら、案の定、これは英語ではなく、ネイティブアメリカン・オネイダ族の伝統言語だとわかった。そして、コース名の「アデュニオート」は「イーグル」を意味するのだという。この「イーグル」はゴルフのイーグルではなくワシのイーグルなのだが、イーグルの名を冠したコースで今週4日間に合計28ものイーグルが量産されたのは不思議な偶然だった。(舩越園子/在米ゴルフジャーナリスト)