日本では処方箋(せん)が有効期限切れになった場合、基本的に再受診して処方箋を再発行してもらう必要があります。しかし、
アメリカでは処方箋を医師の診察なしで更新することが可能です。さらに、処方箋の更新をAIに任せるという試験プログラムが、
アメリカのユタ州で発表されました。
Chatbots are now prescribing psychiatric drugs | The Verge
https://www.theverge.com/ai-artificial-intelligence/906525/ai-chatbot-prescribe-refill-psychiatric-drugs
アメリカのユタ州が、AIを使って医師を介さずに精神科の処方箋を更新(再発行)できるようにすると発表しました。州当局は、コスト削減や
医療不足の緩和につながる可能性があると説明していますが、医師からはこのシステムは不透明でリスクがあり、実際に必要な人へ精神
医療が広がるとは考えにくいという懸念が示されています。
ユタ州が発表したのは、Legion HealthのAIチャットボットで、特定の条件下で精神科の処方箋を更新できるようにするという試験プログラムです。試験プログラムの期限は1年となっています。
AI Legion Health - commerce.utah.gov
https://commerce.utah.gov/ai/agreements/ai-legion-health/

Legion Healthは
アメリカ・サンフラン
シスコを拠点とする
スタートアップ。月額19ドル(約3000円)の
サブスクリプションで、ユタ州の患者に対し「迅速で簡単な処方箋の更新」を提供するとしています。プログラムは2026年4月中に開始予定ですが、記事作成時点ではウェイトリストが公開されているのみです。
このプログラムは対象となる薬の種類と、利用できる患者の条件の両方が厳しく制限されています。ユタ州のAI政策室によると、Legion HealthのAIチャットボットが処方箋の更新をできるのは、すでに医師によって処方されている比較的リスクの低い維持用薬15種類のみ。具体的には、フルオキセチン(商品名:プロザック)、セルトラリン(
ゾロフト)、ブプロピオン(ウェルブトリン)、ミルタザピン、ヒドロキシジン(アタラックス)などの不安やうつの治療に使われる薬です。
また、AIに処方箋の更新を行ってもらうには、患者は「安定している」と判断される必要があります。具体的には、最近薬の種類や用量が変更された人や、過去1年以内に精神科での入院歴がある人は、AI処方箋更新の対象外となります。加えて、患者は処方箋更新10回ごと、あるいは6カ月ごとのいずれか早いタイミングで、
医療提供者による対面または正式なチェックを受ける必要があります。

なお、このシステムは新規の処方箋を出すことはできず、血液検査など継続的な医学的監視が必要な薬剤にも対応していません。
アメリカでもAIにこの種の臨床的権限をAIに委ねることはまれですが、ユタ州は2026年1月にヘルスケアテクノロジー企業のDoctronicと共同で、AIに処方箋更新を任せるパイロットプログラムを発表しています。
AI Doctronic - commerce.utah.gov
https://commerce.utah.gov/ai/agreements/doctronic/