日清オイリオグループは家庭用・業務用の食用油の価格を4月1日から引き上げます。家庭用は8〜14%、業務用は7〜11%の
値上げ。原油高によるエネルギー費や包材・資材費の高騰、サプライチェーン全体のコストが上昇しているほか、アメリカでバイオ燃料の需要が大幅に見込まれているから。
バイオ燃料の需要が高まるのは、環境への配慮として製油業者に対し、ガソリンまたはディーゼル燃料にバイオ燃料を一定混合することを義務付けられているためです。2026年・2027年に混合総量が決定する見込みで、大幅な増加となればバイオ燃料の需要が急拡大します。
食用油はロシア・ウクライナの情勢悪化を起因とした供給量の減退、円安の進行で、2022年から高騰していました。日清オイリオの2025年4-12月は2割もの営業減益。コストの上昇に
値上げのペースが追いついておらず、大幅な減益でした。
そのような状況の中、令和のオイルショックとも言うべき原油価格の高騰、そしてバイオ燃料の需要急拡大というダブルパンチを浴びることになったのです。日清オイリオは4月の
値上げ以降も、「さらなる改定の必要性も視野」に入れていると説明しています。J−オルミルズも家庭用食用油を9〜14%、業務用を7〜11%引き上げ。昭和産業は家庭用を15%以上
値上げします。
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値上げしたミスドは客数が微減
消費者の間では少ない油で調理をする工夫や、ノンフライヤー調理器の購入など、節約に向けた動きが強まっているようです。しかし、飲食店や総菜の製造現場での油の節約は難しいのが現実。こまめに油を継ぎ足す、揚げカスを丁寧に取り除くなど管理を徹底することで長持ちさせることはできますが、劣化した油を使うと料理のクオリティはたちどころに低下します。人気の揚げ物の味を落とさないためにもきれいな油が欠かせません。
食用油高騰の影響を受けそうなのがミスタードーナツ。運営するダスキンのフードグループは2025年4-12月が3.4%の増収、15.9%の増益でした。利益率は13.5%から15.1%に上がっています。
ミスタードーナツは2025年3月に42種類に対して5.6%の
値上げを行いました。現在は高付加価値化に舵を切っており、100円セールも廃止しています。ただ、人気の「ポン・デ・リング」はイートインで税込176円であり、さほどの割高感はありません。
ところが、ミスドの利用者は価格に敏感でした。3月に価格改定を行った影響で2026年3月期上期の客単価は4.6%増加したものの、1店舗当たりの客数は3.6%減少したのです。既存店の売上は1.2%の増加。単価アップで増収は何とか維持しています。足元では
値上げと集客の微妙な駆け引きが続いており、食用油高騰の影響を価格に転嫁せざるをえなくなると、客足が衰える可能性もあります。ダスキンは1999年に「かつアンドかつ」というトンカツ店をオープンし、現在は全国で16店舗運営しています。やはり揚げ物業態であり、こちらも影響はあるでしょう。
◆コスト高が飲食チェーンの再編を促すかも?
「ガスト」や「から好し」を運営する
すかいらーくホールディングスも大量の食用油を使っています。好調な「資さんうどん」も人気メニューは「肉ごぼ天うどん」であり、サクサクのかき揚げなどの揚げ物には定評があるブランド。
すかいらーくの業績は極めて堅調です。2025年度は2桁の増収営業増益でした。2026年度は7%の増収、9%の営業増益を予想しています。ただし、売上総利益率は66.7%で、0.7ポイント下がりました。主力のガストでは
値上げが続いており、高単価路線へと歩みを進めています。とはいえ、わずかに粗利が下がっていることから、価格転嫁が間に合っていない可能性もあります。原材料の更なる高騰は価格転嫁を加速させるか、利益率の低下につながりかねません。