◆母が経営する焼肉屋で毎月300時間働く
――中学生時代から働かれていたと伺いました。
岳野めぐみ:そうですね。生まれは大阪府です。母はシングルマザーで、水商売で成功した女性ですが、そのお金を元手に焼肉屋をオープンさせていました。当時、3店舗あり、そこで中学生から働いていました。高校生になると、そのうちの一店舗の店長ポジションを任され、採用面接なども担当することになりました。毎月300時間超は働かされていたと思います。
――学校に行く時間は……。
岳野めぐみ:ほとんどないですね。だから不登校状態が続くときもあって、担任の先生が家庭訪問に来たりもしましたが、たいていの場合は家政婦さんが対応していて、先生も要領を掴めずに帰っていった感じだと思います。
◆時給600円がうらやましかった
――家族経営となると、給料のようなものは発生するのでしょうか。
岳野めぐみ:お小遣いみたいな金額ですよね。中学生で時給50円、高校生で時給100円でした。高校時代は、友人がアルバイトをすると時給600円もらえるというような話を聞いて、「いいなぁ」と思っていました。
――少なさに驚くわけですが、お金の使い道はどのようなものでしょう。
岳野めぐみ:母が途中から「学費も自分で出しな」と言ってきて、払っていたと思います。府立高校なので学費そのものは安いのですが、それでも毎月3万円ほどしかもらえないなかからの出費は痛いですよね。
◆“今年のお父さん”みたいな人が何人も
――奴隷的な働き方に加え、ご家庭では暴力もあった。
岳野めぐみ:殴る、蹴るは普通にありました。「うちのご飯を食べるな」ということもあり、仕方がないので自分の給料からご飯を買ったりもしていましたね。それから今振り返ると精神的にくるのは、家に水商売の人が入れ替わり同居していることですよね。誰の子どもかわからない子を身ごもっている女性とか、彼氏のDVから逃れてきた女性とか。それから母は男性も年単位で変わるので、“今年のお父さん”みたいな人が何人もいました。当然、別で彼氏もいます。
――休まらなそうな家庭ですね。
岳野めぐみ:母のことが好きで家に出入りしている男性のなかに、居候の女性にベタベタする人がいたり、あるいは私と2人きりで食事をするおじさんもいたり……。とにかく異様な雰囲気だったと思います。当時は「こんなもんか」と思っていたけれど、小学校高学年から中学生くらいになると「おっぱい大きくなったか」と触ってくるおじさんもいて。普通に気持ちが悪かったですね。
――高卒と同時に、ご自宅を出る。
岳野めぐみ:ええ、母によそで就職したい旨を伝えたら、もう使えないと判断されたみたいで。「それなら出ていきなさい」と。当時、2個上くらいの大学生と交際していたので、少しの間だけでいいので身を置かせてもらえないか頼んだのですが、彼氏が消極的で。そのとき「年上で頼れると思ってたけど、案外男性は頼りないな」と残念に思いましたね。