空腹で目覚めた冬眠明けのクマはどのような行動をとるのか。
そして、2026年も人里への出没が増えるのでしょうか。
直面する課題と対策を取材しました。
お腹を空かせて「興奮状態」冬眠明けたヒグマの様子は…
クマ11頭を飼育する、北海道新得町のベア・マウンテンです。
(ベア・マウンテン 坂出勝園長)「この子は覚醒が早くて、かなりお腹を空かせている」
冬の間は野生のクマと同じように冬眠させていますが、3月に入ってすべてのクマが目覚めました。
(ベア・マウンテン 坂出勝園長)「起きているな、ミット。この子ももうお腹を空かせて…88日
間食べていないです」
冬眠前に脂肪をたくわえ、体重が420キロあったオスグマは、冬眠中の絶食を経て60キロほど減少しました。
この日、部屋を掃除して、3か月ぶりとなるエサを用意します。
するとー
(ベア・マウンテン 坂出勝園長)「匂いでもう、エサ早くちょうだいと叩いています。かなり興奮していますね」
厳重に鍵をかけ、冬眠明け最初の食事が始まります。
(ベア・マウンテン 坂出勝園長)「かなり勢いよく食べて、久しぶりの興奮状態でしたね。この子は飢えていると態度に出す」
では、野生のクマが目覚めるとどうなるのかー
(ベア・マウンテン 坂出勝園長)「野生のクマは巣穴からそろそろ出てきて、雪を掘って秋のドングリを少しずつついばんでいくという状況。この時期のクマは飢えていますし、母親は子どもを守ろうとする。かなり狂暴というか結構激しい動きをすると思う」
雪の上に足跡 はやくも冬眠明けのヒグマがウロウロ…
道東の弟子屈町にある中学校です。
(弟子屈町立川湯中学校 松永達郎校長)「これです、大きいですね」
3月19日、幅14センチのクマの足跡が見つかりました。
古い足跡とみられるものもあり、繰り返し出没している可能性があります。
(弟子屈町立川湯中学校 松永達郎校長)「けさ見た時に、ん?となって外に出て確認したら、シカとは全く違う足跡。戻った足跡がないので、きっと周回しているんじゃないかと。子どもたちもいますし、怖いなと」
道内では3月に入ってクマに関する通報が16件と相次いでいます。(3月19日朝時点)
冬眠明けのクマがエサを求めてさまよっているのでしょうかー
(苫小牧研究林 奥田篤志班長)「アライグマか。アライグマの足跡ですね」
苫小牧市にある、北海道大学の研究林です。
調査員の奥田さんは、ここで20年以上ドングリのデータを取り続けています。
(苫小牧研究林 奥田篤志班長)「これはミズナラの木ですけど、このミズナラの下にもドングリは1つも見えない。おととしのドングリの帽子が少し残っているくらい」
目覚めたクマのエサとなるドングリは、ほとんど見つかりません。
人里への出没につながる恐れがあるといいます。
クマの出没が相次いだ2025年、道内ではドングリが凶作でした。
森で十分なエサを得られず、市街地に現れた可能性があるといいます。
奥田さんは、採取した枝葉や種を品種ごとに仕分けています。
ここからとれるデータを豊作や凶作の予測につなげています。
2026年の実りはどうなるのでしょうかー
(苫小牧研究林 奥田篤志班長)「最近の様子を見ていると、1年おきに(ドングリの)“なり年”が来ている。大豊作になるかどうかは別として、(ことしは)少しはなるのかなと」
ドングリが豊作になれば解決か?「野生動物の数が増える可能性」
札幌市で3月から始まったクマの「春期管理捕獲」です。
熱感知センサー搭載のドローンを飛ばして、クマの巣穴を調査。
発見した場合は捕獲します。
(ハンター)「巣穴があるんじゃないかというポイント。去年もここから出てきてこっちに入っていく」
目的は捕獲だけではありません。
経験の浅いハンターの育成もその1つです。
ドングリが豊富に実り、クマの出没が減れば、その間に捕獲の技術を引き継ぎたいと意気込みます。
(猟友会札幌支部ヒグマ防除隊 玉木康雄隊長)「ことしある程度の実りが山に確保されれば、大量出没はないのではないかと推測しています。次世代の隊員を慣熟させるチャンスを我々は与えられたのではないかと思っています。ベテランから中堅へ、中堅から若手にという形で技術継承をしっかり行う。それが今季の防除隊の目標」
では、ドングリが豊作になれば問題は解決するのでしょうかー
ドングリの生産量を予測する専門家は、豊作が招く危険性をこう指摘します。
(北海道大学農学研究院 加藤知道教授)「凶作があることで個体の数が抑えられるというのがなくなると、より野生動物と人間社会の問題が大きくなる可能性があります」
今後さらにクマの個体数が増えていく可能性があると強調します。
(北海道大学農学研究院 加藤知道教授)「温暖化したり、CO2濃度が増えると、豊作の頻度が増える可能性がある。だとすると、野生動物の数が増える可能性があると仮説を立てている」
冬眠から次々と目覚めるクマ。
人里に寄せ付けず、適切な距離をとるために、対策も正念場を迎えています。