【1位予想:阪神】
――今シーズンも、阪神がリーグを制しそうですか?
高木 不安要素を挙げるとすれば、ケガです。例えば侍ジャパンとの強化試合でも、オープン戦でも、佐藤輝明と森下翔太がいない打線は違うチームなのかなと思うくらい迫力がありません。ピッチャーがいいだけに試合を崩さなければそこまで負けないでしょうが、佐藤か森下、どちらかがケガで離脱してしまったら相当苦しくなるはずです。
クリーンナップとしてほかに考えられるのは大山悠輔くらいです。近本光司、中野拓夢は長打があるわけじゃないですし、その点での怖さはないですよね。塁に出してしまうとかき回される怖さはあるかもしれませんが、投手がクイックをしっかり使えば、それほど積極的に走るふたりじゃないですから。
それと、新外国人のキャム・ディベイニーは苦しむと思いますよ。ショートの守備も不安です。小幡竜平を外野で起用したりしていますが、外野手はある程度いますし、ディベイニーがダメな時にすぐにバックアップできるようにショートに置いておくべきです。
ここまで不安な部分しか挙げていませんが、ほかのチームがあまりよくないんです。安定感で考えれば、やはり阪神が一番上にくるような気がします。
【2位予想:広島】
――昨シーズン5位と低迷した広島を2位と予想した理由は?
高木 大瀬良大地は故障で離脱してしまいましたが、先発ピッチャーは新外国人のフレディ・ターノックもいいですし、先発に転向した栗林良吏らも含めて枚数は揃っていると思います。あとは、8月半ば以降の大事な時期に打てるかどうか。そのくらいの時期までは粘れるチームなのですが、その後に失速してしまうのが大きな課題です。
あと、ピッチャー陣は"左腕王国"になってきましたよね。郄太一や佐藤柳之介らも今年は期待できますし、彼らをうまく起用できれば面白いです。
野手も、サンドロ・ファビアンとエレフリス・モンテロがいますし、今年は例年より坂倉将吾のバッティングがいい印象です。小園海斗がいて、昨年によくなった中村奨成がいて、ルーキーの平川蓮(1位/仙台大)が機能し、成長著しい佐々木泰が中軸を打つ。不安定さはあるかもしれませんが、若手の勢いにちょっと賭けてみたい感じがしますよね。
――広島は有望な若手が多い?
高木 各球団とも、いいルーキーが出てきたらすぐにレギュラーを獲られてしまいそうな若手は多いのですが、佐々木、平川、勝田成(3位/近畿大)など、広島にはレギュラーとして長くやっていけそうな若手が多いんです。二俣翔一や、足のある辰見鴻之介らもいますし、じわじわと野手の層が厚くなってきているので面白いと思います。
【3位予想:中日】
――昨シーズン4位の中日は、Aクラス入りするという予想ですね。
高木 岡林勇希、田中幹也、上林誠知が足を使えますよね。田中に関してはバッティングがよさそうな雰囲気がありますし、体が大きくなっているのでスタミナ面の不安も多少は解消できるかもしれません。セカンドは田中で安定なので、ショートがピリっとしてくれるかどうかですね。
――新外国人のミゲル・サノー選手はいかがですか?
高木 やはりパワーがありますし、彼が打つか打たないかがチームの命運を握っていると思います。それと、中日は必死にならざるを得ない選手が多いんですよ。特に細川成也、上林、山本泰寛などは、「結果が出なければすぐに首を切られるんじゃないか」と切迫した状況で他チームから移籍してきて、中日で再起をはかってきたわけじゃないですか。そういった必死さは他チームにとって嫌だと思います。そこにジェイソン・ボスラーやサノーの長打力が機能すれば、怖い打線になりますね。
投手陣は、郄橋宏斗と金丸夢斗がいて、そこにベテランの大野雄大や涌井秀章、ルーキーの中西聖輝(1位/青学大)、櫻井頼之介(2位/東北福祉大)らが噛み合ってくればAクラスを狙えるはずです。
【4位予想:巨人】
――巨人は大黒柱の岡本和真選手が抜けましたが、チーム状況はいかがですか?
高木 岡本が抜け、レギュラーが泉口友汰しかいない状態だと思うんです。長打という点で期待していたリチャードがケガで離脱し、先発ピッチャー陣の柱として考えていた山粼伊織が右肩のコンディション不良で出遅れることになりましたから、苦しいスタートになりそうです。必然的に、ルーキーの竹丸和幸(1位/鷺宮製作所)や山城京平(3位/亜細亜大)、未知数の新外国人投手らにかかる比重が大きくなりそうです。
あと、トレイ・キャベッジは昨シーズンよりも期待感がありますが、新外国人のボビー・ダルベックはインサイドのボールに苦労しそうです。外の甘めのコースであれば爆発力を発揮できるかもしれませんが、インサイドを攻められたらかなり苦しむと思いますよ。
松本剛に関しても、このままだと苦しむでしょうね。ここ数年は不振でしたが、バッティングの形を変えられていないですから。少しいじったらよくなると思うのですが、それができておらず、変化や進化を感じないんです。投打ともにシーズンが始まってみなければわかりませんが、現状は厳しそうです。
【5位予想:DeNA】
――昨年2位、古巣のDeNAは5位と予想されました。
高木 アンドレ・ジャクソンとアンソニー・ケイ、トレバー・バウアーが抜けましたが、この3人で400イニング以上投げていたんですよ。ジョン・デュプランティエが加入しましたが、竹田祐がどこまで投げられるかわかりませんし、先発ピッチャー陣が苦しいです。計算できるピッチャーの枚数が足りていないので、ケガでのさらなる離脱も心配しなければいけませんね。
先ほど、「中日は必死にならざるを得ない選手が多い」と話しましたが、DeNAは長期契約をしていたり、比較的安心してしまっている選手が多い印象です。他チームから来た選手がレギュラーの選手たちを脅かしているわけでもないですし、自分のポジションを必死に守る選手も多くない。チーム内に危機感や緊張感があればそれが強さになったりするのですが、それがないんです。
ただ、今年は梶原昂希のバッティングがいい時の状態に戻りつつありますし、蝦名達夫や石上泰輝、新外国人のクーパー・ヒュンメルあたりが打ってピッチャー陣をカバーしていければ面白くなると思います。
【6位予想:ヤクルト】
――村上宗隆選手が抜けたヤクルトは、やはり厳しい?
高木 村上が抜けたのは大きいのですが、奥川恭伸や吉村貢司郎、山野太一、ナッシュ・ウォルターズら、先発ピッチャー陣は例年になくいいかもしれません。ただ、点が取れるのかどうかですね。ドミンゴ・サンタナ、ホセ・オスナのほかは、クリーンナップをまかせられるバッターが見当たらず、かなり苦しいです。
近年、成績が振るわない山田哲人は故障で離脱中で、野手のリーダーがいません。ある程度計算できるのが長岡秀樹くらいですし、期待していたルーキーの松下歩叶(1位/法政大)は故障で二軍調整中。伊藤琉偉あたりが定着すればいいのですが、いずれにせよ野手の選手層が薄いです。新戦力が彗星のごとく現れる、といったことに期待するしかない状況ですね。
【プロフィール】
高木豊(たかぎ・ゆたか)
1958年10月22日、山口県生まれ。1980年のドラフト3位で中央大学から横浜大洋ホエールズ(現・横浜DeNAベイスターズ)に入団。二塁手のスタメンを勝ち取り、加藤博一、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」として活躍。ベストナイン3回、盗塁王1回など、数々のタイトルを受賞した。通算打率.297、1716安打、321盗塁といった記録を残して1994年に現役を引退。2004年にはアテネ五輪に臨む日本代表の守備・走塁コーチ、DeNAのヘッドコーチを2012年から2年務めるなど指導者としても活躍。そのほか、野球解説やタレントなど幅広く活動し、2018年に開設したYouTubeチャンネルも人気を博している。