唯一の高3世代としてU-19
Jリーグ選抜に参加した17歳が、歳の差を感じさせない貫禄で結果を出した。
鹿島アントラーズのFW吉田湊海は全
韓国大学選抜とのポストユースマッチに前半45分間は2トップ、後半開始から24分まではインサイドハーフで出場。前半42分には鋭い裏抜けからGKとの1対1を制し、一時2点リードとする追加点を奪った。
得点シーンでは準備段階から相手を上回っていた。GK松田駿(岡山)からのロングキックに対し、まずは無理に競り合うのではなく、身体を寄せながら相手DFの動きを制限した吉田。するとそのおかげでポストプレーに回ったFW渡辺隼斗(神戸)のヘディングでのフリックが成功し、ボールが最終ラインの背後に向かうと、すでにスピードに乗っていた吉田は相手DFを一気に出し抜く形となった。
「自分はあまり身長がデカくないので、自分のところにキーパーから高いボールが来た中で、競るというよりは相手に身体をつけながらターンした。隼斗が後ろにいるのは分かっていたので、まずは(落としたボールをもらうために)下につこうと考えていたけど、(渡辺)が頭で行けそうな気がしたので隼斗の後ろに走った」(吉田)
そうしてGKとの1対1を迎えると、飛び出してきたGKが倒れ込むのを見逃さず、ふわりと浮かしたシュートで勝負あり。「最初のタッチがちょっと長くなってしまったけど、うまく触れられて流せたので良かった」。得点への
嗅覚、フィニッシュのセンスが詰まったファインゴールだった。
吉田は高校2年生だった昨年4月に16歳288日の若さでJ1デビューを果たし、同12月に早くもプロ契約を交わした名門期待の逸材。もっとも、ユースと並行して活動していた昨季とは異なり、今季からはトップチームに専念して日々のトレーニングを続けているなか、J1百年構想リーグでは分厚い攻撃陣の壁に阻まれ、ここまでベンチメンバーに入ることができていない。
その現実は“実力不足”として正面から受け止めている。「今はずっとレオ(・セアラ)とか(鈴木)優磨くんが出ているけど、キョウくん(田川亨介)とか(徳田)誉も本当にすごい選手だと思うし、そこをまず超えていかなければスタメンを取れないし、まだまだ自分の実力が足りていないのかなと思います」。
Jリーグ選抜活動で十分にアピールした今もなお、満足した様子は全くない。
「今日もアントラーズのスタッフも試合を見てくれて入るけど、もっとアントラーズの練習試合だったり、普段の練習から同じポジションの人たちを超えていかないと試合には出られないのかなと思います」。近い世代が集まる選抜活動よりも、鹿島のポジション争いは当然ハイレベル。自らにさらに高い基準を求めていた。。
とはいえ、このU-19世代でも成し遂げたいことが明確にある。
吉田は昨年秋、U-17日本代表のエースとしてU-17W杯に出場し、14年ぶりのベスト8進出と史上初の決勝トーナメント2勝という快挙に導いたが、個人としては6試合1ゴールという結果。世界各国から集まったタレント候補のパフォーマンスを間近で感じ、大会後には「自分の感想としては、久しぶりにびっくりしたなという感覚があった」という言葉を残していた。
次の目標は来年のU-20W杯となる。「11月に自分の代で(U-17の)
ワールドカップに出て、本気でまた
ワールドカップに出たいと思ったし、来年は一つ上のU-20W杯があるので自分は本気でそこを目指しています」。対象年齢は1歳上の世代まで含まれるが、年少組という意識はない。今回のU-19
Jリーグ選抜ではU-19日本代表の菅原大介コーチが監督を務めていることもあり、良いアピールとなったはずだ。
また今回の選抜活動ではパフォーマンス面だけでなく、気持ちの面でも嬉しい出来事があった。中学時代を過ごしたFC多摩ジュニアユース時代の先輩である
ベガルタ仙台FW古屋歩夢との共演が実現したことだ。この日は古屋が2トップ、吉田がインサイドハーフで後半の約25分間共演。また11日の全
日本大学選抜戦では共に先発で45分間出場し、2トップを形成していた。
FC多摩Jrユースの2トップ共演が実現
「(中学時代は中盤だったため)俺もFWになると思っていなかったし、中学校の歩夢で言えばプロになるとも正直思っていなかったので、ここまで来れたのは本当に
奇跡だなと思います」。そんな2人はいざピッチに立てば「中学校の時からプレーの時は変わらないのでやりやすさはあった」といい、次はU-19日本代表での再会を目指していく構えだ。
すでに古屋はプロ1年目の今季、
J2の仙台でポジションを獲得し、得点も記録しており、吉田も負けじとチームでの序列を上げていきたいところ。「まずはチーム中心の生活になるので、まずは本当に試合に絡んでいきたい。そこで試合に出ないと何も始まらない。試合に出た上でU-19の代表、U-20W杯につながると思う」。4日間の活動で受けた刺激も糧に、再び鹿島でのポジション争いに挑む。
(取材・文 竹内達也)