ソフトバンクは3月5日、災害発生時の臨時通信エリア構築体制強化を目的に、「有線給電ドローン無線中継システム(ドローン基地局)」の改良型を、2026年1月末までに全国10拠点に配備し、運用体制を整備したことを発表した。
同社は現在、災害に強いネットワークの実現を掲げ、陸上のみならず、海上や空中を組み合わせる形の多層的な通信インフラ整備を推進している。有線給電方式のドローン基地局もそうした取り組みの一環で、2022年の初期配備以降、配備エリアを拡大させ、台風や地震、山林火災などの現場での運用による被災地での通信確保などを担ってきた。
今回の改良は、そうした運用実績を踏まえて得たさまざまな知見を機能の追加や機体の改修などとして盛り込んだものとなる。

「有線給電ドローン無線中継システム(ドローン基地局)」のイメージ (出所:ソフトバンク)
機体のみならず運用面での改善も実施
主な機能追加ならびに改良ポイントは以下の通り。
ドローンの組み立て機構や給電ケーブルの構造を見直し、設営作業を容易にするとともに、システムの耐久性を向上
自動離着陸機能を追加し、より安全で安定した運用を可能に
上空からの見通しや周辺の被災状況の把握を可能にする遠隔監視・遠隔制御機能を改善
ドローン無線操縦信号の通信品質を評価し、操縦システムの安定性を向上
寒冷地での運用を想定した性能評価を行い、低温環境下での運用性を向上
バックホール回線に「Starlink」を追加し、災害時の通信確保手段の冗長性と柔軟性を向上

ドローン基地局と新たに追加されたStarlinkアンテナ (出所:ソフトバンク)
なお、改良型が配備されたのは北海道・東北・関東・東海・関西・北陸・中国・四国・九州・沖縄の全国10拠点とのことで、同社では今後、システムのさらなる小型化や運用の自動化、バックホール回線の多様化など、ドローン基地局の高度化に向けた検討を進めていくとしているほか、地方自治体や防災機関との連携を強化し、設営訓練や共同の防災訓練を通じて、災害時の通信確保と地域の防災力向上に貢献することを目指していくとしている。
小林行雄 1990年代後半、大学で電子工学を学ぶ傍ら、秋葉原でPCパーツの販売に従事した後、2000年代前半に半導体・FPD業界専門誌の編集記者に転身。主に半導体デバイスに関するアーキテクチャ、製造プロセス、製造装置、材料分野を中心に担当。2008年1月に、毎日コミュニケーションズ(現マイナビ)の運営するオンラインメディア「マイコミジャーナル」に移籍。以降、半導体業界を中心に、半導体の適用範囲の拡大とともに、スーパーコンピュータ、自動車、ロボット、産業機器、宇宙、AIとフォロー範囲を拡大してきた。2021年のビジネス情報メディア「TECH+」立ち上げに併せて編集長に就任して以降も、技術の進化を肌で体感するべく前線にて、技術の変化をウォッチしている。 この著者の記事一覧はこちら