AIが食事のレシピを作成してくれる
アプリがあったり、食材を管理してオススメレシピを提案してくれるAI搭載冷蔵庫があったりと、チャットAIは料理をする際のスマートアシス
タントとして役立てることも可能です。実際にAIをレシピ作成に使うべきなのかどうか、プロのシェフ3人に尋ねた結果をウェブ
メディアのMashableがまとめています。
Should you be using AI for recipes? 3 real chefs weigh in. | Mashable
https://mashable.com/article/should-you-use-ai-recipes

本やウェブサイトで料理のレシピを見る際には何人前か指定が難しかったり好みの
調味料や食材の調整が難しかったりしますが、チャットAIに料理のレシピを作成してもらうことで分量や好み、時間、難易度といった具体的な変数に合わせたレシピを作成することが理論上は可能です。しかし、AIは食べ物の味を理解しているわけではないため、AIのレシピに従って作った料理がおいしく仕上がるかどうかは分かりません。そこでMashableはプロのシェフ3人に「AIをレシピ作成に使うべきか」と尋ね、それぞれの意見をまとめています。
食料品デリバリーサービスでレシピ提案も行うHungryrootの料理長であるジェイソン・ハイゼルマン氏は、「AIは料理のアイデアを素早く生成し、スケールアップさせるのに非常に優れています。数千通りの味の組み合わせ、料理法、そして食事制限を数秒で合成できます。特に家庭料理をする人にとって、これは大きな刺激となるでしょう。AIは料理への参入障壁を下げ、普段は組み合わせないような食材を使った料理に挑戦する手助けをしてくれるのです」と認めています。実際にハイゼルマン氏も仕事と家庭の両方で料理にAIを活用しているとのこと。
しかし、AIは食べ物の味が分かるわけではなく、食感や味付けのバランス、ソースを煮詰めたときの感触といった直感的な理解や、熟練した料理人が本能的に習得している絶妙な塩加減や
香りといった重要な要素を含めることは難しいです。そのためハイゼルマン氏は「レシピはあくまでも枠組みに過ぎません。食の伝統は文化、
歴史、そして生きた経験に根ざしていて、そこで最も重要になるのは人間の専門知識です。本物であることは、単に食材にこだわるのではなく、料理の背後にある物語や意図を理解することです。味付けや調整、盛り付け、そして自分流にアレンジすることで、料理の芸術性が生まれます。AIはアイデアを生み出しますが、料理に命を吹き込む創造的な判断は、やはり人間が担うのです」と語りました。

個人向けの料理提供やメニュー作成、栄養指示などを行うプレイベートシェフサービスのThankfully Local Private Chefでシェフと
医療食の専門家を務めるチャック・ヘイワース氏は「シェフ業界では『オリジナルレシピはどこにも存在しない』とよく言われますが、私はその意見に反対です。Thankfully Local Private Chefのようなクライアント向けの専用レシピを作成する場合では、特定の食材や味の組み合わせがうまくいくかどうかをオリジナルで試す必要があります。そのためにAIに理論的な味の組み合わせについて尋ねたり、大まかなアイデアを画像として可視化してもらったりすることで、オリジナルレシピの開発に役立ちます」とAIの活用について述べました。
ヘイワース氏はAIのレシピは分量が大きくズレていることも少なくないと欠点を指摘しつつも、「AIのレシピに間違いが含まれているとしても、料理には結局人間の味覚を使わなければなりません。うまく調理できるかどうかは最終的に個々のシェフにかかっており、レシピがおかしいかどうかを判断するのは人間です。キッチンにおけるAI活用の未来は明るいと私は思っています。私は今後何年にもわたり、自分のレシピに関する思考を助けるために、AIを調整しながら使い続けることを楽しみにしています」と前向きな意見を述べました。さらにヘイワース氏によると、「他国のレシピを西洋風の分量表記に変換」といった用途にもAIは役立つとのこと。
アメリカを拠点とする高級レストランホスピタリティ企業のMajor Food Groupに所属するベテラン洋菓子職人であるトム・ファヴォルール氏は、「AIはもろ刃の剣」と表現しています。インターネット上に投稿されたレシピに「塩を小さじ1杯」と書くところを「塩をコップ1杯」と誤記していた場合、人間ならすぐミスだと気付きますが、AIはそのまま受け入れてしまう可能性があります。AIは数字に関して正確な一方で人間のミスを見抜くのは苦手のため、AIのレシピを疑う姿勢が重要だとファヴォルール氏は指摘しました。
その上で、AIの最大の利点として「数学の天才で決して疲れない助手を持てることです」とファヴォルール氏は語りました。分量の換算や材料を混ぜる際の糖度と脂肪の比率計算といった下働きを任せることで、シェフは味の組み合わせや盛り付けといったより楽しく重要な部分に時間を割くことができます。「AIは私の料理に取って代わったわけではありません。ただAIのおかげで、より速く、より正確に料理ができるようになったのです」とファヴォルール氏は述べています。

いずれのシェフも、AIを料理シーンで活用することは有用であると認めた上で導入に積極的でありつつ、正誤の判断や味の確認と調整など、人間による経験も間違いなく必要であると語りました。Mashableは「AIはある料理について1万種類のレシピをスキャンして、最も一般的な材料を教えてくれますが、レシピの背景にある文化を理解する事はできません。AIは優れた模倣者ですが、最終的なレシピのアイデアを生み出すための
人生経験がありません」とまとめています。