長野市の中学2年生、清水唯衣さん14歳。小学2年生のときからこの病院に通っています。
新井秀希医師
「ゆいちゃんどうぞー」
「どうどうどう?変わりある?」
清水唯衣さん
「元気です」
新井秀希医師。唯衣さんを担当して6年になります。
唯衣さんは小学2年生のとき、骨にできる悪性腫瘍=骨肉腫が左足首のあたりに見つかりました。これまでに、抗がん剤治療や足の骨を切るなどの手術を経験してきました。
骨肉腫は肺への転移が多いとされるため今でも年に3回、肺のCT検査を行います。
新井秀希医師
「転移はないね」
清水唯衣さん
「検査しているときに何もないといいなとかそういう心配はないけど診察のときに先生に今回も大丈夫だよと言われるとほっとした気持ちになります」
手術によって短くなった足の骨を伸ばすため、「骨延長」と呼ばれる治療も受け今は体内に骨を支える金具が入っています。
新井秀希医師
「全体で見ると、こっちの骨ってさ、蛇みたいににょろにょろ曲がってない?ちょっとまっすぐになってきたよね。骨ってこうやってね、だんだん成長に合わせて曲がった骨はまっすぐ伸びてくる、だんだん矯正されてくるんだよ。だから次は、抜く手術のことを考えなきゃな。唯衣ちゃんのできそうなときだね」
清水唯衣さん
「いつでもいいです」
金具を取る手術をすれば、もう手術の予定はありません。
ちょっと遅めのバレンタイン。先生にスイーツを渡すのも、唯衣さんにとって定番となりました。
新井秀希医師
「子供たちの骨肉腫のフォローアップは一生です。私がやめるまでずっと付き合っていく。足のこととか、小さいころに抗がん剤の大量療法をやっていますので、二次的な障がいですよね、あとから出てくる体の不調、そういうのはずっとフォローアップしていきます」
母親 清水理果さん
「いまだにこのCTやレントゲンの検査するまでは、ずっと不安な気持ちは尽きなくて。でも本人はそんなこと気にせずに生活してほしいなと思うんですけど。私はずっと病気のことは…ゼロじゃないっていうか…ですね」
14歳までの子供がかかる「小児がん」。年間およそ2500人が「小児がん」と診断されています。
白血病や脳腫瘍が多く、唯衣さんが治療した骨肉腫などの骨腫瘍は全体の3.6パーセント。大腸や肺などが多い大人と比べ、がんの種類は大きく異なります。
唯衣さんが訪れたのは塩尻市で行われたがんの啓発イベントです。
患者と家族のサポートやがん教育の推進に力を入れる県内の団体が開いたもので、テーマは「小児がんを知ろう」。
自らの経験を伝えてほしいと、声が掛かりました。
唯衣さんは小学5年生の頃から年に数回こうした活動を続けています。
この日、一緒に話をしたのは全国を飛び回るシンガーソングライターと県立こども病院で働く医師。
2人も、小児がん経験者です。
清水唯衣さん
「病気になる前は水泳が結構得意で、基本的に走ることとか、スポーツが、兄の影響もあって結構好きだったが。足の病気になっちゃって、それがほとんでできなくなっちゃったけど。自分に何が残っているんだろうと思って、病室で勉強をしてみたりとか、中学校に入ってからは運動部には入れないけど、吹奏楽部に入って楽器を初めてみたりとか、今こうやって話しているみたいに自分の経験でしか話せないことを伝えるとか、今まで自分が気付けなかった自分の中にある自分の強みみたいなのを見つけられる機会になった」
中学生のときに白血病と診断
県立こども病院 盛田大介医師
「小児がんという珍しい病気に小さいころにかかって、それなりにみんなそれぞれが失ったものとか辛かったものって取り戻せないぐらいあると思う。でもその中で、今まさに唯衣さんはそれを乗り越えて、どんどん足も良くなっていき、それもプラスに捉えて社会に発信したり、強味にして活躍されているというところで、これは本当に素晴らしいことだし。今病気をたたかっている、今まさにたたかっている子の未来、希望になる」
県内外から訪れたがん患者や家族などおよそ50人が唯衣さんたちの言葉に耳を傾けました。
がん患者の家族
「家族が当事者となったことへの違いがよく分かって。多方面からがんのことを知れたので、すごくいい機会かなと思います」
看護師
「胸がいっぱいになりますね。これからも看護師としてできることをやっていきたいなという思いでいっぱいになっています」
この春、中学3年生になる唯衣さん。
誰かの支えや気づきのきかっけになりたいと、これからも自分の言葉で発信を続けるつもりです。