なぜスニーカーを買ったのに、立ち続けるとツラくなるのか。理由は簡単で、その靴が歩くためのものだからです。「最大のクッションを利用して」「前に足が進む」という最新のハイテクシューズは言ってみれば、ぬかるんだ下り坂のようなもの。自転車と同様に、走り続ければ安定するのですが、停止し続けるのは至難です。しかし靴の売り文句だけでは見分けがつきません。実体験ベースで、立ち仕事に向いている靴や向かない靴、そして向かない靴への解決策を解説します。
◆立ち仕事に向く靴、アディダス「スーパースター」
スーパースターはもともとバスケットボール用の靴で、いわゆるバッシュです。長距離を歩くのにはあまり向いていませんが、「止まる」という一点においては完璧。スーパースターでも、ナイキのバッシュでも、オールドスタイルでもハイテクでも構いません。目的は同じ。せまいコートの中を、どっちにダッシュするか、ターンするかわからない、一気にブレーキをかけて体の軸を決めてボールをコントロールするための靴がバッシュ。底の返りのなさと、靴底が全面に地面に着くという設計は、立ち続けたり、狭い面積を歩く、踏ん張るには最適です。美容師でバッシュ愛好者が多いのは、実は理にかなっています。
◆立ち仕事に向く革靴、スコッチグレイン「ASSURANCE」
本格革靴は、案外立ち仕事に向いています。と言うと、「そんなバカな。硬すぎるじゃないか?」と思われるかもしれません。立っていて疲れるのは中途半端にクッションを利かせた革靴です。硬いカカト芯で、慣れるまでは容赦なく硬い革底は、足元を固定し、全身のブレを止めるにはメリットしかありません。この感覚は体験しないとうまく伝わりませんが、革靴は目安として4万円を超えてくると、突然違う顔を見せます。気合を入れなくても、自動的に「びしっと立たされる」ことになります。カカト周りから踏まずまでの骨を固い芯で立体的に抑えてくれるからです。しかし硬い靴、と聞くだけで敬遠されがちですが、逆なのです。ラクです。ついでに言えば革の中底が蒸れも匂いも吸収します。ラクでリピーターがいるからこそ、高いコストでもつくり続けられているのです。
◆立ち仕事には向いていない靴、HOKA「ボンダイ7」(復刻版)
「歩き続ける」「走り続ける」ならHOKAが無双です。しかし、唯一の弱点が「止まり続ける」こと。完全に実体験ですが、ハイパークッションとつまさきのローリングが仇となり、立ち仕事で一日を終えると謎に疲労感が残ります。それまでカチカチの革靴だったのですが、狭い職場で立ち続ける、ちょこまか動き続けると、踏ん張りが効かず、疲労感が溜まる。HOKAに限らず、どのメーカーでも数万円するハイテクのランニングシューズやウォーキングシューズだからといって万能ではありません。同じことがふわふわのリカバリーサンダルにも言えます。すべての靴にはちゃんと目的があるのです。
◆立ち仕事の最短距離=インソール
難しく考えず、まずこれだけを覚えてください。硬い靴には柔らかいインソール、柔らかい靴には硬いいインソール。この公式にほぼ例外はありません。今はほとんどの方がスニーカー、あるいはスニーカーのような革靴を履いているので、最低限のコストであれば、リゲッタ「ルーペインソール」が無難。