ソル・デ・ジャネイロ(Sol de Janeiro)の人気ボディミストとは異なり、同ブランドの新しいソリッドパフューム(練り香水)スティックは、部屋全体に香りを漂わせるほどの効果が期待できない。
しかし、このブラジルにインスパイアされたボディケアラインは、それを欠点ではなく魅力として打ち出す。
「部屋全体を包み込むような圧倒的な香りではなく、肌で感じるような、より親密な瞬間の香りを求める人は、そうでない人と同じくらい多い」と、ソル・デ・ジャネイロの最高マーケティング・デジタル責任者ジョーダン・サクセマード氏は述べた。
同ブランドの新作「ジェリーパフュームバーム」には、従来のスプレー式香水の拡散力を生み出す主な成分のアルコールが含まれていない。
市場拡大を背景に広がる「新しさ」と「手頃さ」への挑戦
練り香水自体は古くから市場に出回っており、ル ラボ(Le Labo)やディプティック(Diptyque)などのブランドは10年以上前から従来のスプレー式香水の固形版を展開する。
香水売上が依然として増加を続けるなか、「斬新さ」と「手頃な価格」を求める顧客に応えるため、ソリッドフレグランスを試みる新興ブランドの波が広がっている。
ソル・デ・ジャネイロは先月、1本26ドル(約3900円)で「ジェリーパフュームバーム」3種を発売した。
Z世代向けフレグランスブランドのノイズ(Noyz)は昨年、1本42ドル(約6300円)でこの形式の商品を発表した。ボディケアブランドのシディア(Sidia)も昨年、1個48ドル(約7200円)の練り香水をラインアップに追加した。
グルーミングブランドのバイキング・レボリューション(Viking Revolution)は2023年に1缶9.99ドル(約1500円)でソリッドコロンを発売した。同ブランドは昨年100万個以上のソリッドコロンを販売し、2026年末までにソリッドコロンの売上が20%増加すると見込んでいる。
検索トレンド急伸とレイヤリング需要が追い風に
スペイト(Spate)の2026年フレグランス・トレンド・レポートによると、Googleの検索ボリュームおよびTikTokとインスタグラム上の投稿を追跡する独自の「ポピュラリティ指数」に基づく、練り香水の人気は2025年に前年比174.6%増加した。
ボディミスト同様、練り香水は1本のオードパルファムよりも複数の香りを重ね付けしたい消費者にとって、より低価格な選択肢を提供する。
また、ワックスベースのソリッドフレグランスはホホバオイルやビタミンEなどの成分を配合できるため、ブランドは美容ルーティン全体で
スキンケア効果を求める消費者にも訴求できる。
携帯性と再塗布の「儀式」が生む独自価値
「携帯性は、われわれの顧客層にとって非常に重要だ」と、バイキング・レボリューション創業者のビクター・メンドーサ氏は述べた。
同氏はブランドの主な顧客をブルーカラーの男性だと説明する。同氏は、去年3月のTikTok Shopでの発売がコロンの成功につながったと語る。
「ほかの香水ほど高価ではなく、いつでも塗り直せる。肌の上で4〜5時間持続し、保湿効果もある」。
フルトン&ローク(Fulton&Roark)が2013年にソリッドフレグランスのみを商品としてデビューした当時、この形式は依然として異端の存在だった。ところが共同創業者のケビン・ケラー氏は、より繊細な香りを求める消費者の市場があると信じていた。
「多くのお客様にとって、香りで部屋を完全に支配するのは悪夢のようなものだ」とケラー氏は述べる。「彼らは、やや内向的なフレグランス体験を本当に好んでくださる」。
フルトン&ロークは当初、男性向けに練り香水を展開していたが、現在の顧客は女性が多数派とケラー氏は語る。
シディアのような新しいソリッドフレグランスブランドは、ココナッツとバニラを基調とした「ブラーレス(Braless)」のような香りで、よりフェミニンな層をターゲットにする。
「当社のソリッドフレグランスにはアルコールが含まれていない。とてもステキで親密な、『知る人ぞ知る』タイプの商品だ」と、シディア創業者のエリン・クラインバーグ氏は述べた。
「オードパルファムほど長持ちしない。しかしそれでよい。塗り直す儀式こそが、香水の魅力だと思うから」。
ボディミストとの差と今後の拡張戦略
とは言え、ソリッドフレグランスカテゴリーがボディミストの流行に追いつくには、まだ長い道のりがある。問題は香りの拡散力だけではない。
市場調査会社サーカナ(Circana)によると、米国における2024年のヘア・ボディミスト売上は4億7400万ドル(約711億円)に達し、前年比94%増となった。
ケラー氏によると、フルトン&ロークは現在、1本65ドル(約9800円)のソリッドフレグランスを年間約5万本販売している。2025年にはソリッドフレグランスの売上が前年比30%成長したと予測しているが、同ブランドが2023年にエクストラドパルファムを発売した際には、その売上がソリッドフレグランスを上回った。
ただし、スプレータイプとソリッドタイプは必ずしも相互に排他的ではない。
クラインバーグ氏は、シディアではボディミストがもっとも売れている形式である一方、同じ香りのソリッド版とミスト版の両方を購入する消費者をよく目にすると語る。
「それらの儀式が、われわれにとって本当に大きな変化をもたらす。なぜなら重ね付けの瞬間だからである」と同氏は述べた。
「最終的には、その上に重ねられる上質なフレグランスも展開できるかもしれない」。
メンドーサ氏は、ソリッドコロンの成功を踏まえ、バイキング・レボリューションが2026年第4四半期にボディミストを発売する計画だと明かした。
「一度、香りや製品ライン全体の香りのプロファイルに対する信頼を得られれば、異なる提供形態を試すのは格段に容易になる」とメンドーサ氏は述べた。
[原文:Can solid perfume be the next body mist?]
Emily Jensen(翻訳、編集:藏西隆介)