クラウドファンディングサイトで昨年(2025年)12月から、1億2,600万円の支援を獲得した製品だ。世界で400万台販売したという先代モデルを大幅にアップグレードした次世代モデルだ。
ファーウェイの新イヤーカフ型イヤホン「FreeClip 2」がいよいよ一般発売を開始した
つけているのを忘れる軽さとC-bridgeの進化
耳たぶを挟み込むようなイヤーカフのフォルムを同社ではC-bridgeデザインと呼んでいる。これが全面的にアップグレードされた。重量は前モデル比91%減の片耳5.1gで、体積も11%削減し、本当に装着していることを忘れるほどだ。まさにウェアラブルの理想に達している。
しかも、肌に優しくやわらかい液体シリコン素材と形状記憶合金の組み合わせで、しなやかな弾性を確保している。それだけ耳にやさしい装着感を実現しながらも、激しく頭を振っても外れないくらいのフィット感だ。このレベルのフィット感がなければ、うなずいて着信を受けたり、首を振って着信拒否したりするような機能はつけられない。
また、このイヤホンは加速度センサーで左右を自動識別する。なので、どちらのカフをどちらの耳につけても正しくステレオのL/Rを再生する。また、2つのカフは完全に同じ形状なので、片耳利用の場合にも、任意の側につけられる。
音を聴いてみて驚くのは、アコースティックボールの華奢なスピーカーからは想像もできないほどにパワフルなサウンドを奏でることだ。先代機と比べると格段の違いを感じる。
FreeClip 2のブルー。ケースは凹凸のある加工で指紋や指の脂が目立たない
パワフルな音質に注目。自動音量調整は今後に期待
クラウドファンディング時期に、先行ですでに紹介されているが、耳へのナチュラルな装着感は、同様のフォルムを持つ他社製品を寄せ付けない。このタイプのイヤホンが苦手とする騒がしい環境下でも、低音の出力が強化されたパワフルな音圧を確保できるので実用性も向上した。
ただ、耳元に小さなスピーカーがむき出しで置かれているという状況に変わりはない。逆相音で音漏れを打ち消す仕組みも搭載されているのだが、大音量での再生時には距離の近い他人に迷惑をかけていないかどうか十分に注意してほしい。自分では気がつくのが難しいが、それが気配りというものだ。
環境音を常時モニタして、その騒音に応じた音量で再生する自動音量調整機能も提供されている。興味深い機能ではあるが、再生中のサウンド音量がフラフラして不安定に感じる印象もあり、感度調整や音量調整の速度などの最適化に、もう少し進化が必要だと感じた。AIによる最適化が過剰、あるいは追従速度のチューニング不足を少し感じる。
ファーウェイは、これらの音声処理のために、新開発したNPUを搭載し、高いAI演算能力をイヤホンに実装したそうだ。AIによって日常のオーディオ体験が大きく変わるといってもいいだろう。このAI処理は、クリアな通話音声のためのノイズキャンセルなどにも貢献している。
落としてすみません。「片耳だけ装着」に警告がほしい…
極めつけの機能は、落下検知センサーだ。装着しているイヤホンが落下した場合、その衝撃を検出して、もう片方のイヤホンからアラート音が鳴るようになっている。
音楽を聴いているのであれば、イヤホンが片耳から外れた場合でも、装着検出機能で再生が停止するのですぐにわかる。だが、これだけ耳への負担が少ないイヤホンだと、音楽の再生もなしに丸一日装着し、電話の着信に対応したり、AIとの会話に使ったりしたくなる。なので、この機能の実装には大いに期待したのだが、現時点ではどんなにがんばっても発動にはいたらなかった。
相当の勢いで、硬いところに落下させて衝撃を与えないと発動しないのかもしれないが、さすがにレビュー用に貸し出された製品でそれをするのはためらわれる。検証機なので壊さない程度に試した範囲ではだめだった。ここはひとつパーフェクトに稼働するようにアップデートしてほしい。
片耳にしかイヤホンをつけていないときの場合にも、スマホがバイブしたり警報音を鳴らすなどなんらかの方法で知らせてくれる仕組みもあればよかった。
実は、クラウドファンディング時に、評価のために同社から貸し出された製品を試しているときに、耳につけていた片方のカフを荒天の夜間屋外で落として紛失してしまい、関係者に大迷惑をかけてしまった。日本に入ってきているサンプルが少なく、レビュー用に支障をきたしている時期だっただけに申し訳ないことをした。
音を出していなかったので、落としたことに気がついたのは目的地に到着してからだった。嵐のような雪まじりの雨の中を傘を差して歩行中の出来事だった。かなり特殊な条件が重なった結果ではあるが、そういう悲劇が起こらないイヤホンライフは目前だ。
ここで指摘した改善すべきポイントのほとんどはソフトウェアで改善できる種類のものだ。ハードウェアとしての完成度は高く、きわめて魅力的な製品に仕上がっている。ソフトウェアの進化で完成度をさらに高めてほしいと思う。HUAWEI FreeClip 2は、単なるガジェットを超えてスマートライフのパートナーとしての完成度に近づいている。
著者 : 山田祥平 やまだしょうへい パソコン黎明期からフリーランスライターとしてスマートライフ関連の記事を各紙誌に寄稿。ハードウェア、ソフトウェア、インターネット、クラウドサービスからモバイル、オーディオ、ガジェットにいたるまで、スマートな暮らしを提案しつつ、新しい当たり前を追求し続けている。インプレス刊の「できるインターネット」、「できるOutlook」などの著者。■個人ブログ:山田祥平の No Smart, No Life この著者の記事一覧はこちら