鹿児島城西高から藤枝MYFCに加入し、今季が勝負の3年目。高い技術と得点力を兼ね備えるMF芹生海翔が、槙野智章新監督のもとで飛躍の時を迎えようとしている。「チャンスを与えられる数はこれからもあるとは限らない。もっとやらないといけないと感じている」。プロの舞台に慣れるフェーズは終わった。ここからはさらに結果にこだわっていくつもりだ。
2006年2月22日生まれの芹生は23年、鹿児島城西高を史上初の高円宮杯プレミアリーグに導いたMF。中盤ながらも同年のプリンスリーグ九州では世代屈指のFW高岡伶颯(バランシエンヌ)と並ぶ16ゴールを挙げて得点王に輝くと、参入戦にあたるプレーオフでは1回戦、決勝戦と立て続けに決勝点を記録し、目覚ましい活躍を経てプロの舞台に乗り込んできた。
高卒1年目からJ2リーグ戦5試合の先発出場を含む8試合1ゴールを記録し、順調な滑り出しを見せていた芹生。だが、2年目の昨季は先発での出番は掴めず、9試合1ゴールという結果にとどまった。今季は飛躍が求められるシーズン。第2節・松本戦(◯2-0)からは3試合連続の先発起用を勝ち取っており、いまがアピールしどころだ。
1日に行われたいわきFC戦では持ち前の攻撃センスを随所に見せていた。前半9分のチーム最初の決定機は中盤左サイドで前を向いた芹生が、左サイドを使うと見せかけ、自ら縦に持ち上がったのが起点。「3試合目で慣れてきて、自分の良さを出していかないというところでああいうプレーにつながった」。また同23分にはワンステップで右サイドに豪快なサイドチェンジを送り、非凡な展開力も見せた。
一方、次の課題は「ああいうプレーをもっと出していかないといけない」という安定性だ。守備でも相手のクロスに対してバイタルエリアを埋め、こぼれ球への対応に高い意識を見せていた一方、手を使ったファウルが散見。「デュエルの距離とかは行けているけど、取り切るところや漏らすところがあるので漏らすところなく奪っていきたい」と向上させていく構えだ。
またボランチ起用が中心ではあるものの、フィニッシュの局面でもう一つ違いを見せられるのも芹生の絶対的なストロングポイント。「よくよく考えると自分の強みは違いを作るパスだったり、最後の質。そういったところがどれだけ通用するかが自分でも楽しみ」と明確な意識を持ってゴール、アシストという結果にこだわろうとしている。
そんな20歳の飛躍には槙野監督も積極的に支えていく姿勢だ。「昨年までプレータイムを確保できなかった選手を輝かせて、羽ばたかせたい」と若手の起用には積極的で、芹生については「本来の力のまだ半分も出せていない」とさらに伸び代を感じている様子。「彼に求めることは攻撃のところもそうだし、運ぶこと、怖さを与えることなのでしっかりと試合の中でフィードバックして次に生かしてもらいたい」と期待を口にした。
J2カテゴリでの活躍が実現すれば、これまで未経験の代表活動にも繋がっていくはずだ。チーム内には同じくロス五輪世代のDF永野修都もおり、「意識はしている。自分のほうがやれる自信もあるし、それでもリスペクトもある」と良い刺激になっている様子。「元からそんなに名前がある選手でもないので、名前のある選手から世代別代表を奪うことも狙っているけど、チームで結果を残さないと何もない。もっと自分が芹生海翔という名前を広げないといけない」。謙虚さの中にも野心を持ってJリーグを戦っていく。
(取材・文 竹内達也)