ミラノ・コルティナ五輪を駆け抜けたあと、やはり若干の疲労もあったのか(←競技してるわけでもないのにいっちょ前に)、しばしグッタリとしておりました。すると、気づけばもうWBCの開幕ではありませんか。一番熱いタイミングであろう東京プール開催の週末はのっぴきならない別件があって心はそちらに向いているのですが、その前後においてはWBCに熱く燃えていければと思っております。
日本戦のチケットはてんで取れず、今も順番待ちの表示で「あと5万人…」とか出ているもので現地観戦は他国の試合のみかなと思っておりますが、楽しんでいこうと思います。余談ですが、この順番待ちシステムは厳しいですよね。「あと38万人…」から始まると、いざ自分の順番がきたときに気づかないですからね。で、実際にはもう並んでない人も列から排除されないわけじゃないですか(諦めてブラウザ閉じてるけど待機列にはいるという)。僕自身も2回くらい自分の順番見逃してしまって繰り返し並んでる状態です。しかも、これ順番さえきたらたくさん買えるわけじゃないですか。「悪」とは言わないですが「善」ではないシステムだなと思います。最後の最後まで抽選でやってくれる運営さんを熱く支持しながら生きていこうと思います。
さて、そんななか開催直前になってWBCのチケット規約が物議を醸しているとのこと。どうやら、このWBCにおいては試合および関連イベントに関する写真・動画・実況・テキストその他一切について送信(および送信の補助)をしてはいけないのだとか。この厳しい規約には承認欲求で野球に行っている港区インフルエンサーだとかが猛反発。「野球文化の終わり」「競技普及にまったく貢献しない」「Netflix解約しました」などの憤りを見せているのだとか。ちょっと僕自身も引っ掛かりそうなところがありますので、これはしっかり規約を見ておかねばらならぬと思い立った次第です。
↓これ「投稿禁止」ですからね!「撮影禁止」じゃないですからね!
↓どのメディアも原文へのリンクを貼ってくれないので仕方なく自分で貼ります!
↓一番関係するところはコレです!
保有者は、以下の事項に同意するものとします: (a) 保有者は、本チケットにより入場が認められる試合の全部もしくは一部、または当該試合に関連して提供されるあらゆる興行、アトラクション、準備運動、練習、試合前・試合後・イニング間の活動、宣伝、競技(以下「本試合」といいます。)その他のイベント(以下本試合と合せて「本イベント」といいます。)の、あらゆる写真、画像、動画、音声、ライブストリーム、その他の説明、解説(実況情報を含みます。)(文字、データ、映像のいずれであるかを問いません。)(本試合または本イベントに関連するあらゆる説明、解説、写真、動画、音声、再現、その他の情報(以下「本試合情報」といいます。)を含みます。)を、いかなる媒体を用いても、送信または送信の補助をしてはなりません。
公式サイトの規約のページの一番下に日本語版があるので、それを見ましょう!
オールドメディアもAIまとめで済む記事なんか書かずに、リンク貼ってくれればいいのに!
まず大前提としてですが、これは「チケット規約」です。日本(とたぶん多くの世界)の憲法やら法律において、何かを投稿したりする権利が制限されているわけではありませんので、突き詰めれば「主催者からのお願い」という話です。ただ、チケット規約ですので、これに反した場合は「そのチケットにより生じる権利を制限するぞ」という話です。違反したときにはチケットを取り上げられて追い出されるかもしれない、そんなことです。
で、チケット規約ですので当然チケットを持っていない人に対して何かができるものではありません。港区承認欲求インフルエンサーが「来ましたー!(私の完璧に仕上がった顔を見よ!どうせおじは野球ユニ好きなんだろ?ほれほれ)」をやる場合には、チケットを持たずに会場に行きまして、チケットがなくても入れる場外とかで「来ましたー!WBCやってまーす!」をやり、「チケットないので帰りまーす!」と帰れば運営側としては何の対処もできないものと思います(野球ユニが普段着という若干のはみ出し者感は出るかもしれないが…)。
ただまぁ、規約の書き方がかなり広範囲に「当該試合に関連して提供されるあらゆる」イベントまでを制限をするものになっており、それは場内に限られるのか場外も含むのか微妙に分からず(チケット規約なので場外はさすがに関係ないのだろうが…)、NPBの規定のように写真投稿はOKとか試合後ならプレー動画投稿もOKみたいな例外規定もないので、チケットがあろうがなかろうが球場内イベントだろうが球場外イベントだろうが、「来ましたー!」の時点で「悪」認定されるかもしれないなとは思います。善意の観戦者がめちゃめちゃ引っ掛かりそうな規約ですので実効性は乏しいと思いつつ(※たぶん海外ファン中心に大量の規約違反が起きるので、そもそも悪認定もされないし、運営側も何の取り締まりもしない)、味方も多いが敵も多い承認欲求界隈はルール遵守を意識しないといけなくなるのでしょう。
そういう意味では、承認欲求メインで考えるなら、出掛ける時点で「行きまーす!」をやるのが一番無難かなと思います。そのほうが背景に映り込むバットを持った野球おじ(※バットの持ち込みは入場規定及び行動規範で禁止されていますのでご注意ください)を消去する手間も省けますし、お互いの平和のためです。何なら「行きまーす!だけやって行かない」ってのも手かもしれないですね。「お前本当は行ってないだろ!」って追及されても現地の写真とか出せない規約ですし、「本当に行きました!」「規約で写真は出せないですけど本当に本当です!」「名誉棄損で訴えます!」って言い張れば行ってなくても押し切れそうな気がしてきました。いろんなユニフォーム用意して、「次はチェコVS台湾戦行きまーす!」「あー、チェコVS台湾戦楽しかったー!」「試合については一切お話しできません(真顔)」とかやってもいいかもですね。下手に現地に行って、たまたま気づいた人に「スマホばっかり見て、試合はまったく見てませんでした」とかレポートされるより確実ですからね。行ったつもりで承認欲求、これが最強かもしれません。
↓あらゆる発信はNetflixでやるので、客の投稿などあてにせず公式を見てくださいね!
で、ここからが個人的な思いなのですが、SNSなどを中心に大ブーイングではあるのは承知しつつも、むしろこういう規約もアリかもしれないなと思ったりします。もちろん「野球の普及につながらない」とか功罪の罪の部分もいくつか思い当たりますし、普通にやりそうなことでこれまで普通にできたことを制限して「悪」認定してくる何者かにはイラッとしなくもないのですが、現地に行ったら現地を楽しむのが一番大事なのに、SNSにそれを阻害されてしまっているなと思ったりもするのです。つまり、この規約には功罪の功の部分もあるなと。
自分自身も「来ました!」をやるタイプなのでわかりますが、アレをやり始めると本当にその現場でやるべきことが実はおろそかになってるんじゃないかと思う瞬間もあるのです。今目の前の試合から目を切ってまで、その一言を投稿するのが本当の喜びなのかと。今目の前の試合から目を切ってまで、その写真を投稿することが本当の喜びなのかと。SNSによって心を毒されると、一言いわずにはいられない、投稿せずにはいられない、みたいな禁断症状が出てしまうのですが、食事を楽しまずに食レポを熱心にしている人、みたいになってしまっている気もするのです。
今回は「投稿禁止、撮影可能」という規約ですが、何なら撮影の部分も本当の幸せなのかなと思う瞬間さえあります。僕もカメラ持ち込んで撮れる限りの機会で撮っているので撮影OKは歓迎なのですが、それも本質的には食事を楽しまずに料理写真撮ってる人、なのかなと思うのです。表現が難しいのですが、撮りたいし、撮るんだけど、そのことでコンテンツを楽しむ部分が実はおろそかになっているんじゃないか、と思ったりするのです。プロのような機材があるわけでも、メディアが構えるベスポジにいるわけでもないのに、何故に自分は撮影ばかりしているのかと思ったりして。ファインダーの限られた画角で見るのではなく、会場全体を広く自分の目で見たほうが、本当に見るべきものが見えるんじゃないのかと。
昨今は音楽ライブでの撮影解禁なんて話もあり、そこで考えさせられたことがあります。King Gnuの常田大希さんが言っていた話ですが、King Gnuでは今度の全国ツアーで公演中の撮影を全編許可するのだそうです。常田さん曰く、日本ほどマナーがいい国はなかなかないのに、日本が一番(ルールが)厳しいのであると。ルールをできるだけ減らしたいのであると。でも数曲だけ解禁とかは嫌であると。何故なら、そうすると撮影会みたいになっちゃって曲が死ぬのであると。無論、全編配信でマネタイズみたいなことは推奨していないという話ですが、「ルールは減らしたい」という思いと「撮影会になると曲が死ぬ」という思いと、その両方を慮った結果が全編撮影可ということなんだなと受け止めました。
実験も含めてさまざまな試みをしつつ、「全員がカメラを持っていて、全員が世界に発信できる」時代のエンターテインメントのあり方を考えているのが今なのかなと思いますが、コンテンツのことを思うと、いっそ「投稿不可、撮影不可」というのもひとつのスマートな結論だなと思ったりするのです。僕もやりたいし、僕もやるんですけど、「いっそ全部禁止されたほうがスッキリする」かもしれないなと。実際、僕自身も一部撮影可能な音楽ライブに参加したことがあって、Mrs. GREEN APPLEさんのステージの様子とか写真撮影したことがあったりするんですが、まぁ撮ってる間はみんなライブを楽しんでないですよね。撮るのに忙しくて。「撮る」って、すごく「楽しむ」を阻害するんだなと実感しました。やってOKってなってたらみんなやっちゃうくらい魅力ある行為ではあるのですが、同時に本当の楽しみを阻害する行為でもあるなと。酒・たばこと健康の関係、みたいな感じで「身体が気持ちよくなるけど、身体によくない」的な性質のものかもしれないなと。
音楽ライブであればまだ、真の核となるコンテンツは「音源」「MV」だと思うので、まぁライブパフォーマンスは一種のお祭り体験ということで「全編撮影OK」みたいな区切り方もあるのかなと思いますが、スポーツエンターテインメントのように「そのライブパフォーマンス」こそが真の核であるものについては「全編撮影不可」「全編投稿不可(ネタバレ観点)」という区切り方もアリなのかなと思ったりするのです。実際、スポーツエンターテインメント以外の多くのもの…映画とか演劇とかでは「撮れない」がスタンダードで、内容の投稿についても全員がOKなわけではないけれど、それで世界がまわっていますからね。何年も前に発売した漫画の話でも「まだ読んでないんでネタバレしないでください」って言われたりするくらいの現代なので、野球の試合結果なんてそれ系の最たるものでしょうしね。音楽は少し撮影OKに寄っていき、スポーツは少し撮影不可に寄っていく、そんなバランスの取り方もあったりするのかなと。歴史上でこういう環境になったことが初なので、試行錯誤はつづくのだと思いますが、功罪のどちらか一面だけに執着するのではなく、いろいろと体験しながらバランスを取っていくのがいいのではないかと思いました。WBCもその実験のひとつとなるのでしょう。
ということなので、WBCについては「現地に行った試合ほどSNSとかブログとかやらない」ということになりそうですが、幸いなことに日本戦のチケットはまったく持っていないのでNetflixなど見ながら感想でもつぶやければいいなと思います。キャンペーン期間ということで、WBCだけ見るつもりなら広告アリプラン初月498円でよいという話ですし、PayPay支払いにするとNetflixクーポン適用で最大50ポイント還元の実質449円くらいで観戦できますので、この機会に今後の契約継続の是非も含めてじっくり検討しようと思います。Netflix×WBCが盛り上がればそれはそれで結構ですし、盛り上がらなければ次回はチケットが取りやすくなるかもしれませんのでね!
「Netflixでしか触れられない大会」になることは罪しかないかもですが!
スポーツ見るもの語る者〜フモフモコラム
フモフモ編集長
さまざまなジャンルのスポーツを"お茶の間"目線で語る人気のコラム