◆投資信託は誰が売り、誰が運用しているか?
資産運用と聞くと「何をしていいかわからない」という疑問があったり、「安心・安全に自分の資産を減らすことなく増やしたい」という不安から、新NISAでは積み立て型の投資信託が人気のようです。
積み立て投資は毎月コツコツと一定額を投資することで、自動的に価格が高いときには購入量は少なくなり、安い時には多く購入できるので、購入単価を平準化して低く押さえられるドルコスト平均法が活用できます。「経済全体が伸びていく」として、毎月10万円を積み立て、年率6%程度の複利利回りがある投資信託を30年続ければ約1億円になります。「日本経済がこれから伸びるかわからない」という不安から、アメリカ株のS&P500や全世界株式、通称オルカンの投資信託を積み立てている人も多いかもしれません。
しかし、私は積み立て型の投資信託は「やらない」と決めています。そもそも、まずこの投資信託という商品を購入するには、販売されている必要があります。銀行や証券会社等の投資信託を販売している会社は、ボランティアで販売しているのでしょうか?加えて、投資信託にはそれを組成し運用する会社も存在します。みなさんから集めた資金の運用方針を決めて、売買の指示を行います。投資信託を運用するためには調査、分析、運用報告書などの作成も必要になってきます。
つまり、これらのコストを賄うために投資信託は保有している期間中、運用や管理の対価として純資産から0.1%〜2%程度の「信託報酬」が差し引かれます。
私は、「投資信託では信託報酬分は明らかにマイナス」になるので、あまり良い投資先ではない、と考えています。投資をするならば、状況が変わらなければ投下した金額と同額以上になるものに投じたほうが、当たり前に「負け」が少ないと思っているのです。もちろん「手間をかけず楽に儲けたい」というニーズがあるのは理解しています。しかし、その楽をしている分コストを支払っていること、そして、そのコスト分は確実にマイナスになっている点は忘れずにいたほうがよいでしょう。
◆インデックスファンド“右肩上がり”の正体
投資信託のアクティブファンドには市場平均を超える運用成績を目指すために「グロース(成長)株」「バリュー(割安)株」「海外株式ETF」「インド株」といったテーマが設定されていますが……。今後10年以上に渡ってそれらのテーマが確実に伸びるかは誰にも分かりません。実際にインデックスファンド以上のパフォーマンスが出ているアクティブファンドの方が少なく、日本株のアクティブファンドの場合、過去10年間でインデックスファンドを上回ったのは3割程度に留まるそうです。
「コストがかかっているのに、商品は上がるか下がるかわからない」となったら私にとってはもはや丁半博打の「賭場」に参加しているとしか思えません。
「それならインデックスファンドの積み立てならば良いのでは?」と疑問に思う方もいるでしょう。インデックスファンドは手数料も低めですし、10年〜20年単位の長期スパンでは、世界経済の成長とともに右肩上がりを続けてきています。
しかしここで「長期投資ならばパフォーマンスは右肩上がり」と思うのは早計です。忘れて欲しくないのは、上がっているのは「価格」でしかないという点で、価格が上がっている理由は貨幣価値が下がっているから、と捉えることもできるのです。当然、一時期を切り取ったとき、貨幣価値が下がっていないにも関わらず、ファンドの価格が上がっているというギャップが存在するケースもあるでしょう。しかし、デフレ下つまり貨幣価値が上がっている局面では株価は下がり、インフレ下つまり貨幣価値が下がっている局面では株価は上がるというのは、みなさんも肌感覚で理解されているのではないでしょうか。そうだとすると、私にとってのインデックスファンドは、多少の誤差はあるものの「インフレヘッジ」という面が大きく、純粋に「資産を増やす」という目的には合致してはいないと思っているのです。