【漫画】本編を読む あなたがつい先ほど町中ですれ違った“人”が、実は人間に擬態している妖怪だったとしたら……。あなたは、その正体を見破ってみたいと思うだろうか。
『狐の窓〜ゆるっと怪異〜』(夜風さらら/KADOK
AWA)は、人間の世界に紛れて生きる妖怪と、人間との交流を描いた連作短編漫画だ。
主人公のナギは、人間でありながら、妖怪のちょっとした悩みをゆるっと解決する東雲
探偵事務所で助手として働いている。所長である不思議な少女・レンに“狐の窓”を教わったことをきっかけに、様々な妖怪たちと関わるようになる。
“狐の窓”とは、指を組んで不思議な窓を作る呪術だ。
のぞき込むことで、妖怪の正体など目には見えないものを見られるようになる。本作に登場する妖怪は、一度は名前を聞いたことがある有名な妖怪から少しマイナーな妖怪、かわいらしい妖怪から恐ろしい妖怪まで、非常に多様だ。女学生に擬態している猫又や、人間界の機械製品に興味をもって人里に下りてきた鴉天狗、
オタク男性に化けている鬼などが登場し、人間社会に溶け込む姿と本来の姿とのギャップも魅力的で、必ず“推し妖怪”が見つかるだろう。
また、ストーリー全体の緩急も絶妙だ。シリーズ第3巻では、東雲
探偵事務所と町の妖怪たちの間でいさかいが勃発し、“狐の窓”を使って「妖怪の正体当て」の三番勝負をすることになる。やや
シリアスな展開ではありつつも、コミカルな掛け合いや、くすっと笑えるエピソードが随所に挟まれているため、緊張感を緩めながら読み進められるだろう。
人と妖怪という異なる存在が交流し、時に支え合う姿を描いた本作は、読後に怖さよりも温もりが残る怪異譚だ。少しの間、現実を忘れたくなったときに“狐の窓”をのぞくような気持ちで、本作を開いてみてほしい。ページの向こうでは、ゆるりと心地よい非日常なひとときが、いつでもあなたを待っている。
文=ネゴト / 桜小路いをり
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