純利益が大幅減となった主要因が
自動販売機事業の減損損失。
伊藤園は
自動販売機事業を直接手掛けていましたが、2026年に子会社ネオスに移管する計画を立てました。
そのプロセスにおいて、
自動販売機の販売数量が低下し、経営環境が著しく悪化している兆候が認められたのです。
自動販売機事業だけで120億円近い減損損失を計上しました。
減損損失とは事業資産の収益性が低下し、投資額が見込めなくなった場合に帳簿の価値を実態に合わせて計算し直すもの。つまり、
伊藤園は自販機事業で従来想定していた収益性が維持できなくなったわけです。
◆「200円」はさすがに高い…自販機から離れる消費者
商品を高値で売れる
自動販売機は飲料メーカーにとって都合のいい存在でした。
伊藤園が自社で直接運営していたのも、それが実入りの良いビジネスだったからに他なりません。しかし、主力商品である「お〜い
お茶」は度重なる値上げで600ミリリットルの希望小売価格が200円を突破。顧客がドラッグストアなどの小売店で購入する動きが加速しました。
伊藤園の2025年5-10月の
自動販売機売上は前年同期間の14%も減少しました。スーパーは1%増加しています。
伊藤園のチャネル別売上構成比率における
自動販売機の比率は2019年4月期が15%、現在は5%ほどしかありません。
自動販売機はかつてほど売れなくなっているうえ、商品の補充にかかる人件費、電気代、キャッシュレス対応の設備費用と手数料負担も重くなりました。
自動販売機事業のメリットがインフレによって失われてしまったのです。
これは何も
伊藤園に限ったことではなく、コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングスも2025年度に
自動販売機事業において881億円の減損損失を計上しています。
伊藤園が
自動販売機事業を子会社へと移管したことは、このビジネスが旨みを失ったことを象徴しています。
◆需要高止まり。緑茶飲料
市場は限界なのか
伊藤園は今期営業減益となる見通し。減損損失という一時的な要因ではなく本業で稼ぐ力も低下しています。
会社の予想通りの着地で、今期の営業利益率は4.0%。
伊藤園は2022年4月期の決算からリベートを売上から控除しています。リベートとは、メーカーが小売店などに対して代金の一部を払い戻すもの。販売奨励金と呼ばれる、古くからある商習慣です。
リベートを控除しているため、営業利益率は高まるはず。しかし、コロナ禍で行動制限が敷かれる前の2019年4月期の営業利益率は4.5%でした。稼ぐ力は下がっています。背景にはこのリベート負担の重さがあるでしょう。
足元で緑茶飲料の
市場は高止まりしています。2025年度の
市場規模は4680億円で、前年度比で1.1%減少する見通し。
伊藤園の2026年4月期上期の緑茶の販売数は0.7%低下しました。
◆緑茶一本足からの脱却を目指す
一方、その他茶系飲料の
市場は伸びています。2025年度は前年度比2.4%増の5200億円。
伊藤園の麦茶の販売数は6.0%増加しています。
伊藤園が販売強化に努めているのが緑茶以外の商品。ほうじ茶、玄米茶を2025年9月にリニューアルし、大谷翔平選手を起用して大々的にプロモーションしました。その他、レモンやはちみつ入りの緑茶「お〜い
お茶 PURE」を開発するなど、新機軸を打ち出しています。