身が大きく旨味が強いのが特徴とされる浜名湖産のアサリ。
しかし2月、浜名漁協が発表したのが…
(浜名漁協・渥美 敏組合長)
「資源の回復を図るため潮干狩り、自由な潮干狩りについて2026年3月から全面禁漁とします」
一般の人の潮干狩り「観光潮干狩り」も含め年間を通して初めて全面禁止にすることを決めたのです。
2009年にはおよそ6000トンの漁獲量があった浜名湖のアサリですが、2010年代に入ると急激に減少…深刻な不漁から漁に出る漁師も減り2025年、ついに漁獲量は「ゼロ」となりました。
(浜名漁協・渥美 敏組合長)
「あの鳥居の周辺がかなりにぎわったところですね」
浜名湖のシンボルである弁天島の赤鳥居。
かつてこの周辺では東京ドーム15個分もの広大な干潟に船で渡る「観光潮干狩り」が春から夏にかけての風物詩でした。
最盛期の1980年代には年間およそ30万人が訪れたこともあったそうです。
そんな浜名湖の名物もことしで8年連続で中止に…再開のめどがたたないほど深刻な状況だといいます。
(浜名漁協・渥美 敏組合長)
「アサリが少なくなってしまって、観光にまわす部分が全くない。それどころかここ数年はほとんど漁業が成り立たない状況になっています。かなり壊滅的な危機的な状況です」
なぜここまで深刻な不漁に陥ってしまったのでしょうか。
複数の原因が挙げられていますがそのうちの一つが「クロダイによる食害」です。
温暖化の影響で一年中、浜名湖で生息するようになり被害が増えたといいます。
もう一つは「湖の栄養不足」。
プランクトンなどアサリのエサが不足しているのではないかといわれています。
この状況で苦境に立たされているのがアサリ漁師です。
(アサリ漁師・鈴木秀輔さん)
「刃がついていて、これで砂の中を掘っていく、水の中で作業するかたちですね」
10年ほど前からアサリ漁師をしている鈴木さんにかつてアサリが採れた場所で漁を試してもらいましたが…
(アサリ漁師・鈴木秀輔さん)
「本当に何もないんですけど、これはハマグリの殻。貝(アサリ)の殻も全く入らない。どこに行ってしまったのだろうという感じではありますが…」
最盛期の1970年代にはおよそ700人いたアサリ漁師も今は250人ほどに減少…
鈴木さんもここ2、3年は全く漁に出られずシラス漁などで生計を立てているといいます。
(漁師・鈴木秀輔さん)
「アサリは浜名湖で漁師としての生活の中心となるものだったので、昔のように復活するのは望めないと思いますが。地域も活性化していくので復活してほしいなと思います」
こうした中、アサリ復活のカギを握ると期待されているのが…。
(アマモ再生に取り組む 徳増隆二さん)
「これがアマモ発芽実験をやっている容器になります。(発芽して)3か月経っています」
“海のゆりかご”と呼ばれる海草のアマモです。
徳増さんは8年前から浜名湖の環境を改善しようとアマモの再生に取り組んでいます。
かつては浜名湖には800ヘクタールほどのアマモが広がっていましたが…。
(アマモ再生に取り組む 徳増隆二さん)
「8年ぐらい前に全くなくなった。ゼロになった。そうするとアサリが着床できる場所が限られてしまいます。アマモが成長した林の中に逃げ込めばクロダイなどに食べられない。アサリは食害に非常に弱い生物なので」
“アサリのすみか”となるアマモ。
浜松市も2025年からアマモを植栽・育成する事業を始めるなど支援に乗り出しています。
(浜名漁協・渥美 敏組合長)
「漁協の使命として漁業者の生活を守る以上に地域にアサリを生産して供給するというのが使命だと思っているので、何としてでもわずかずつでもいいので、復活させていきたい」
浜名漁協は浜名湖に砂を入れてアサリの成長を促す「増殖場」を整備する方針で、少しずつアサリの数を増やしていきたい考えです。