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「怖がりすぎた」資産5億円あっても“幸せではなかった”老後。80歳…
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「怖がりすぎた」資産5億円あっても“幸せではなかった”老後。80歳…
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日刊SPA!
資産5億円あっても「幸せではなかった」老後 80歳男性が最期に残した後悔
2026年2月5日 15時54分
「もしあのとき、あんなに怖がらなければよかった」
その一言が、今も頭から離れません。
◆資産5億円、“誰もが羨む老後”だったはずの男
林さんは80歳。私が銀行員として担当していた頃、すでに十分すぎる資産を持っていました。
不動産、株式、預金を合わせると、だいたい5億円ほど。帳簿上は、文句のつけようがない数字です。
ただ、見た目は本当に普通のおじいさんでした。派手な服を着るわけでもなく、車も高級車ではない。来店するときも、いつも同じような服装で、静かに順番を待っている。
この人が5億円持っていると知ったら、きっと誰もが驚くはずです。数字だけを見れば、完全に勝ち組の老後でした。
◆リーマンショックで1億円が半分になった日
リーマンショックのとき、林さんが運用していた資金は約1億円でした。
それが、相場の急落で一時5,000万円ほどまで減りました。帳簿上は半分です。ただ、全資産が減ったわけではありません。不動産も預金も残っていて、生活が揺らぐような状況ではなかった。
それでも、その出来事は林さんにとって相当こたえたようです。
来店するたびに、あのときは本当にやられた、もう戻らないかもしれないと、同じ話を何度も繰り返しました。
数字だけ見れば致命傷ではありません。老後の計画が崩れたわけでもない。
それでも林さんの中では、あの日を境に、お金を見る目が大きく変わってしまったのだと思います。
◆お金は戻ったのに、
人生
は戻らなかった
その後、相場は少しずつ戻っていきました。時間はかかりましたが、評価額も回復し、結果的に林さんの損失は解消されました。数字だけを見れば、何事もなかったかのようです。
ただ、林さんの暮らしは元に戻りませんでした。以前は年に一度は行っていた旅行もやめ、趣味にもお金を使わなくなりました。人付き合いも減り、外食の話が出ることもほとんどなくなりました。
頭の中にあったのは、どうすれば減らさずに済むか、それだけです。増やすことでも、楽しむことでもない。守ることが目的になっていました。
お金は戻りましたが、時間と気持ちは戻らなかった。今振り返ると、そんな印象が強く残っています。
◆全額を現金で引き出した理由
ある日、林さんは窓口でこう言いました。
「もう全部やめたい。投資は全部解約してください」
相場は落ち着いていましたし、急いで動く理由はありませんでした。それでも林さんは、現金で持っていた方が安心できるからと繰り返しました。
数日後、大きな額の現金を受け取りに来た林さんの姿は、正直、異様でした。分厚い封筒を抱え、何度も中身を確認し、周囲を気にするように視線を動かしていたのを覚えています。
そこにあったのは合理的な判断ではありません。ただ失うことへの恐怖だけが、林さんを支配していました。
◆残された5億円と、最期の言葉
林さんは80歳で亡くなりました。
資産は、ほとんど減っていませんでした。帳簿上では、最期まで5億円近くが残っていたと聞いています。
そのお金は、ほとんど使われることがありませんでした。旅行にも、趣味にも、人との時間にも。守るために存在していたようなお金です。
亡くなる少し前、林さんはぽつりとこう漏らしたそうです。
「怖がりすぎたな」
その一言が、すべてを物語っています。
残ったのは5億円ではありません。使うことができなかった
人生
、そのものだったのだと思います。
◆お金を守りすぎた結果、失ってしまったもの
林さんの
人生
において、お金を増やすことが間違いだったとは思いません。問題だったのは、お金を失うことを恐れ、守ることだけに意識が向き、使うという選択肢が消えてしまったことです。
結果として、失ったものはお金ではありません。取り戻せない時間や、本当なら味わえたはずの経験でした。
お金は残せても、
人生
は残せない。
では、今あなたが大切に守っているそのお金は、何のためのものなのでしょうか。
<文/渡辺智>
【渡辺智】
某メガバンクに11年勤務。リテール営業やプライベートバンカー業務を経験。その後、外資系保険会社で営業。現在は金融ライターとして独立。FP1級保有。難しい「お金の話」をわかりやすく説明することをモットーにしています。公式SNS(X)は、@watanabesatosi7
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