また、地磁気活動はやや活発な状態が予想されます。電離圏は乱れた状態でした。今後1日間、電離圏は静穏と予想されています。
天文学に詳しい山陽学園大学地域マネジメント学部講師の米田瑞生さんに聞きました。
──太陽フレアとはどのような現象なのでしょうか。
山陽学園大学 地域マネジメント学部講師 米田瑞生さん
「黒点周辺にエネルギーが蓄えられて、それが宇宙空間に放出される時、X線でその活動領域が明るく輝くのです。この現象を太陽フレアといいます。
2日から4日にかけて、太陽で太陽フレアと呼ばれる大きな爆発現象が発生しました。中でもXクラスと呼ばれる、最も規模の大きいフレアが観測されるなど、太陽は非常に活発な状態にあります。
今回は、2月4日21時13分に、X4.3クラスのフレアが発生しました。また、2月2日8時57分にX8.1クラスが観測されています」
X8.1クラスというと?
──X8.1クラスの規模は珍しいのでしょうか。
米田瑞生さん
「X8.1クラスというと、1年に1回から2回くらいでしょうか。
X8.1クラスの太陽フレアは、平均すると1年に1~2回程度しか起こらない、非常に規模の大きな現象です。今年はすでに複数回Xクラスの太陽フレアが発生していますが、その中でもX8.1は最強クラスに相当します。
Xクラスの太陽フレアでは、X線で観測される明るさが非常に強く、地球上空の電離圏(高度約60km以上)の状態に影響を与えます。この影響により、電波通信の障害が発生したり、GPSなど人工衛星を利用した位置測定の精度が低下したりすることがあります」
「また、太陽フレアによって地球上空の大気が加熱され膨張すると、低高度を周回する人工衛星が受ける空気抵抗が増加します。その結果、衛星は徐々に速度を失い、場合によっては高度が下がり、運用に支障が出ることがあります。
高度約3万6千kmの静止軌道にある衛星はほとんど影響を受けませんが、スターリンクの通信衛星のように高度数百kmで運用されている低軌道衛星は影響を受けやすくなります」
磁気嵐とは
──太陽表面で爆発現象があると、どうなるのですか?
山陽学園大学 米田瑞生さん
「フレアに伴って、太陽のプラズマ(水素のガスが電離して、水素イオンと電子に分かれた状態のもの)が宇宙空間に放出されます。これをCME(コロナ質量放出)と呼びます」
「このCMEのプラズマが地球を直撃したとき、磁気嵐が起きます。磁気嵐が発生すると、地球の周囲には強力な電流が流れます」
「この電流により、オーロラが広い範囲で明るく観測される他、この電流が磁場を作り出します。磁気嵐の規模は、オーロラの他、地上で磁場を計測することでも把握することができます」
──今後は、どうなりそうですか?
山陽学園大学 米田瑞生さん
「磁気嵐が強い場合には、普段は見られない地域でオーロラが観測されたり、北極・南極周辺では非常に明るいオーロラが現れたりします。
1月22日には、日本でもオーロラが観測されるほどの強い磁気嵐が発生しましたが今回の太陽フレアでは、それほど大規模なCMEは発生していないとみられています。
ただし、程度の差はあれ、磁気嵐が起こる可能性はあります。過去には、磁気嵐によって大規模停電や人工衛星の機能停止といった被害が発生した例もあり、注意が必要です」
2025年11月には北海道などで「低緯度オーロラ」
昨年11月、太陽フレアが発生した際には、北海道でもオーロラが観測されました。
昨年11月12日午後6時45分ごろ、北海道・安平町で撮影したオーロラです。
安平町は、北緯42.47度。ふだんはオーロラは見えません。
「低緯度オーロラ」特有の赤や紫、ピンクが混ざり合ったような、美しい色あいです。
なぜ低緯度でもオーロラが見える?
──大規模な太陽フレアが発生すると低緯度オーロラが見えるのはなぜ?
米田瑞生さん
「普段から、地球は太陽からのプラズマを浴びて、それが北極・南極上空に集まり、オーロラが発生していますが、太陽フレアに伴う大量・高エネルギーのプラズマが、地球に到達すると、非常に明るいオーロラが発生することがあります。
これを、オーロラブレークアップと言います。明るいオーロラが発生するだけでなく、普段はオーロラが見えないような、北極・南極から離れた、比較的低緯度の場所でも、オーロラがうっすら見えるようになります。
低緯度では、赤くぼんやり見えることがあります」
米田瑞生さんプロフィール
2002年4月 - 2006年3月 東北大学理学部宇宙地球物理学科
2013年6月 - 2017年6月 ハワイ大学天文学研究所客員研究員
2015年4月 - 2017年9月 東北大学大学院理学研究科客員研究者 (博士(理学))
2023年4月 - 現在 山陽学園大学地域マネジメント学科講師
主に太陽系内外の惑星・衛星の大気・磁気圏について、研究。特に木星の衛星イオの火山活動がどのように変動しているか、その詳細を調査。イオの火山の研究には、東北大学にいたころに、マウイ島にあるハワイ大学の施設内に設置した望遠鏡を使っている。
若い頃には高山病と闘いながら、チリ・アタカマ砂漠にある、東京大学アタカマ天文台での観測研究に従事。また、現職の山陽学園大学では情報関連の教育に従事する一方、特別な場所・施設でなくても、観測できる現象を調査すべく、「晴れの国」のメリットを活かして、低コストで流星を観測する方法を模索中。