ソーシャル
メディアは
便利で楽しいことも多い反面、依存性が強く中毒的な行動につながりやすいことが懸念されています。ソーシャル
メディアの問題ある使用に陥りやすい要因としては、
性格特性や感情制御の困難、過去の精神疾患といったものが知られていますが、新たな研究では「AIへの肯定的な態度」も要因のひとつである可能性が示されました。
The darker side of positive AI attitudes: Investigating associations with (problematic) social media use - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2352853225000318

Positive attitudes toward AI linked to problematic social media use
https://www.psypost.org/positive-attitudes-toward-ai-linked-to-more-prone-to-problematic-social-media-use/
ほぼすべての主要なソーシャル
メディアでは、ユーザーが気に入りそうなコンテンツをオススメしてエンゲージメントを最大化するために、ユーザーの行動や好みを学習してレコメンドするAI
アルゴリズムが搭載されています。AIを搭載することでユーザーのプラットフォーム利用時間が長くなり、
広告主や企業に利益がもたらされますが、ユーザーは中毒的な行動に陥ってしまうリスクがあります。
そこで、マカオ大学の認知脳
科学教授であるクリスチャン・モンターグ氏は、AIへの態度がソーシャル
メディアへの依存と関連しているのではないかと考えました。AIを信頼している人は、ソーシャル
メディアのようなAI搭載プラットフォームをより積極的に受け入れ、場合によっては過剰に利用する傾向があるかもしれないとのこと。

モンターグ氏らはこの考えを検証するため、ドイツに住む幅広い年齢層と教育レベルにまたがる成人を対象に調査を実施。被験者はAIへの態度を測定するために、「私はAIを信頼している」「AIは人類に利益をもたらすだろう」「私はAIを恐れている」「AIは人類を破滅させるだろう」といった主張にどれほど同意するのかを回答しました。
また、ソーシャル
メディアの利用状況を評価するため、被験者らはFacebook・
Instagram・
TikTok・YouTube・
WhatsAppなどのプラットフォームを使用しているかどうか、個人および仕事で毎日どれくらいの時間を費やしているかを回答しました。ソーシャル
メディアを使用していると回答した被験者は、ソーシャル
メディアへの執着や依存性を測定する「ソーシャルネットワーキングサイト依存度テスト」にも回答したとのことです。
不完全な回答や外れ値を除外した結果、全体で956人の被験者が「ソーシャル
メディアを利用している」と回答しました。そして、AIに対してより肯定的な態度を示す人ほどソーシャル
メディアに費やす時間が長く、問題のある使用パターンを示す傾向が強いことがわかりました。この関係性は男女ともに確認されましたが、男性の方がより強いことが示されています。
対照的に、AIに対する否定的な態度はソーシャル
メディアの利用との関連性が弱かったとのこと。この結果は、AIへの恐怖や懐疑心ではなく「AIへの熱狂的な支持」こそが、ソーシャル
メディアの過剰な利用と密接に関係していることを示唆しています。
なお、今回の研究はあくまで相関関係を示したものであり、「AIに肯定的な態度を取ると、ソーシャル
メディアの問題ある使用に陥る」という因果関係を証明したわけではありません。すでにソーシャル
メディアを頻繁に利用している人がAIに肯定的になりやすい可能性や、テクノロジーへの関心といった別の要因が関連している可能性もあります。

モンターグ氏は、「個人的には、善意あるAI技術に対してある程度の肯定的な姿勢を持つことが重要だと考えています。AIは私たちの私生活とビジネス生活を大きく変えるでしょう。ですから、私たちはこの技術を積極的に活用するための準備をより良く整えるべきです。とはいえ私たちの研究は、AI技術の利用を予測する上で重要とされる『AIへの肯定的態度』には、代償が伴う可能性があることを示しています。それはこうした技術への過度の依存、あるいは私たちのケースのように、ソーシャル
メディア(コンテンツのパーソナライズにおいてAIが重要な役割を果たしている場所)の過剰利用という形で現れるかもしれません」と述べました。